楽天は11月13日、第3四半期の決算を発表した。売上高は2364億円と前年同期比24.1%増、Non-GAAP営業利益では578億円(同91.6%増)、IFRS営業利益では515億円(同95.4%増)となった。
主要事業である楽天市場を含む国内EC事業は、1006億円と前年同期比で30.1%増、国内ECの流通総額も8559億円で同13.7%の伸びとなったが、CtoC事業への投資などが膨らみ、営業利益は同6.7%減の193億円となった。CtoC事業は、テレビCMなどの宣伝活動により、フリマアプリ「ラクマ」と「フリル」を合わせた年換算流通総額(2017年10月の流通総額ベース)が1000億円を超えた。2018年度中盤までに流通総額2000億円を目指す。
FinTech事業は、楽天カードが引き続き好調で、主要クレジットカード会社におけるショッピング取扱高では、楽天が1位になったという。カード単体で売上高408億円(同15.8%増)、営業利益77億円(同横ばい)だったほか、証券や保険、銀行などFinTech事業トータルでは、売上高837億円(同14.6%)、営業利益は180億円(15.7%増)だった。
MVNOサービスの楽天モバイルでは、フリーテルの買収により契約者数が140万に達し、MVNOシェアも25.9%と伸長した。海外では、ECを手がける米Ebatesの流通総額が20億3800万ドル(前年同期比50.7%増)だったほか、営業利益も1280万ドル(同17.5%)と推移した。なお、海外を含めた楽天グループ全体の会員数は12億人にのぼり、2020年までに20億人を目指す。
楽天代表取締役社長兼会長の三木谷浩史氏は、「楽天市場を中心に、会員、データビジネスに注力している。マネタイズとしては、ネットショッピング以外にも、デジタルコンテンツ、マーケティング、広告、金融が好調」とした。また、EC、クレジットカード、通信サービスなど複数の良質なサービスを楽天会員に展開することで、エコシステムのメリットを享受できるほか、ユーザー獲得コストが抑えられるとした。
楽天では、スーパーポイントプログラム(SPU)を8倍にアップしており、一見すれば販促コストは増加する。三木谷氏は、「どこをベースにコストを考えているかが重要。カード事業は、獲得コストを踏まえても、500億円近い収益が上がっている。エコシステムのアンカーとして、どこまでコストをかけていくかは、経済合理性がある範囲内で進めていく。管理会計上、楽天市場のコストに付随するので、楽天市場の収益にはインパクトがあるが、その分カードやモバイルの収益が上がる」と説明した。
また、投資事業も順調としており、PinterestやLyftなどの海外スタートアップ企業の評価額が上がったことで、内部収益は34%増となった。投資事業は、楽天が持つビッグデータをもとに細かい需要を察知し、属人的ではなくデータをもとに仕組み化しており、精度の高い投資を実現できるという。
三木谷氏は、「今まで通算で約1700億円ほど投資を実施。2012年のPinterestにはじまり、2013年にはアジア最大のECであるカルーセルの株式を30%以上保有。2015年にはLyft、2016年には南米最大のシェアリングサービスであるCabifyやCareemにも投資している。我々が持っているデータ、楽天のプレゼンスが高まっている証」とした。
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