ニューヨークのブルックリンにある3D印刷会社Voodoo Manufacturingは、大量生産に対応し、射出成形に対する競争力を高めるために、規模を拡大する必要に駆られていた。
最近まで、そうするためには3Dプリンタとマシンを動かす人材を増やすための投資が必要で、3D印刷の持つコスト優位性を十分に享受できない状態にあった。
そこで同社は1台のロボットに投資して一晩中稼働させ、「lights-out manufacturing」(完全に自動化されて人の手を要さず、消灯(lights-out)していても製造できる状態)を実現した。
近いうちに普及するであろうモデルを洗練されたかたちで提示した格好だ。Voodoo Manufacturingは、自動化を通じて、小規模な企業でも完全に自動化された「lights-out」の操業を始めていることを示している。
これは、事業主が人材に投資するか技術に投資するか判断する際に行う計算の実例でもある。
Voodoo Manufacturingの最高製品責任者(CPO)であるJonathan Schwartz氏は、「ロボットアームを探すにあたって、作業ができるだけでなく、プログラミングが容易で、ごく短時間で起動して稼働するものを求めていた」と述べた。
Voodoo Manufacturingが選んだロボットは、Universal Robotsの「UR10」だ。UR10は、新しいタイプの協働ロボットだ。プログラミングが比較的容易で、すぐれた安全機能によって人と同じスペースで安全に稼働できる点が、他の産業用ロボットとは一線を画する。
Universal Robotsはこの分野の主要なプレーヤーの1社。2016年には6億6200デンマーククローネ(約119億円)の売上高を計上している。
UR10は当面、Voodoo Manufacturingのブルックリン本社に並んだ3Dプリンタで「ハーベスティング」と呼ばれる作業を引き継ぐ。3D印刷工程の中で比較的厄介なハーベスティングとは、プレートを装填したり取り出したりする作業を指すという。
Voodoo Manufacturingの試算では、ハーベスティングは労働時間全体の10%を占め、製造工程の途中で人の介入が必要な数少ない作業の1つでもある。
Voodoo Manufacturingには、160台の3Dプリンタがある。同社では、既存のプリンタを用いた初期の結果に基づいて、移動式の台座にUR10を設置して1万8000平方フィート(約1672平方メートル)の工場内を動き回らせることによって、この協働ロボットに100台のプリンタを受け持たせることができると見積もっている。
Schwartz氏は、UR10をもう1台導入すれば、30~40%のプリンタ使用率を90%にまで高められると考えている。
さまざまなオプションにもよるが、UR10は1台5万~6万ドル前後で設置できる。これは生産性という点で飛躍的な向上であり、ロボットがあらゆる規模の企業にもたらす価値について、洞察を提供するものだ。
Schwartz氏はこの新しいロボットを「ゲームチェンジャー」と表現している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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