コンカーは9月25日、東日本旅客鉄道(JR東日本)、日本交通、国際自動車、大和自動車交通と、近距離交通費の経費精算自動化に向けた実証実験を開始すると発表した。
これは、JR東日本が持つSuicaのデータサーバと、コンカーのクラウド「Concur Expense」を連動させ、ユーザーがSuicaを使って移動するだけで自動的に経費精算が終了する。Suicaデータサーバに集まる交通費データを利用できるため、私鉄やバス(停留所名は出ない)の利用データも自動精算できる。また、今回タクシー3社との連携により、通常であれば物販データとして処理されるタクシーの経費データも取得する。
これまで同社では、カードリーダやモバイルデバイスを使い、Suicaを直接読み取るシステムで効率化を図っていたが、カード内に乗車履歴が最大20件までしか記録できないことや、機器の管理、セキュリティ上の理由でUSB端子が使えない企業でのカードリーダーの運用など課題があった。今回のSuicaデータサーバとの連携により、こうした問題を解決する。
実証実験は2年間を想定しており、実験にしては長期間の印象を受ける。これについては、Suica以外のICカード事業者との連携も検討(現時点で2社と具体的な話が進んでいるという)しているほか、JR側のデータサーバに接続する際のセキュリティチェック、システム開発、パートナー企業各社との連携が必要のため、長めのマージンを取っているようだ。また、個人情報の保護に関しても、SuicaのデータをConcur Expenseと連動させても良いと承諾した従業員のみに限定する。
コンカー代表取締役社長の三村真宗氏は、ホワイトカラーでは全体平均で月に48分ほどを経費精算に費やしており、これは勤務年数に照らし合わせると生涯で52日間に及ぶという。コンカーが持つ数百万件の経費精算処理データをもとに調査したところ、51%が近隣交通費に関するものであり、交通費精算に26日費やす計算になるという。
また、会見にはタクシー3社の代表も出席。日本交通代表取締役会長の川鍋一朗氏は、「(今回の取り組みで)経費精算がすぐに終わる。他のタクシー会社も募り、Suicaでタクシーにのれば経費精算なしという世界を築きたい」としたほか、大和自動車交通代表取締役社長の前島忻治氏は、今回の取り組みについて「事務処理の 一歩前進 豊の秋」と一句を詠んだ。
なお、コンカー以外のSuicaデータサーバとの連携については、実証実験中はコンカーとJR東日本のみで実施。サービス開始後は、両社が取り決める排他期間を設けた後でオープン化するという。
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