1年以上前から、ロシアで偽の銀行やGPS、ポルノアプリに起因する大規模な銀行窃盗が発生している。
ロシア当局関係者は現地時間5月22日、世界中で銀行強盗を企んでいたハッカーグループに対する一連の手入れが成功を収めたことを明らかにした。ロシア内務省によると、使用するマルウェアにちなんで「Cron」と名付けられたこのグループは、ロシアで100万台以上の「Android」スマートフォンを感染させ、5000万ロシアルーブル(約89万2000ドル)以上を銀行顧客から盗んだという。
ロシアのサイバーセキュリティ企業Group-IBによると、このグループは、AndroidベースのマルウェアであるCronを使って標的のスマートフォンを乗っ取った後、被害者が利用する銀行にテキストメッセージを送信し、被害者1人当たり平均約140ドルを送金するよう依頼していたという。その後、このウイルスは感染したスマートフォン上で、銀行から送信される通知を全て非表示にする。
研究者によると、Cronは現在までに、ハッカーたちが所有する6000の銀行口座に預金を行ったという。Cronはテキストメッセージや偽アプリに含まれる悪意あるリンクを通して、トロイの木馬として拡散した。平均で1日当たり3500人の被害者が「Navitel」や「Avito」「Pornhub」といったアプリの偽バージョンをダウンロードしている、とGroup-IBは述べた。ロシア中央銀行によると、この攻撃がロシアで成功した理由の1つは、同国の成人の5人に1人がモバイルバンキングを利用していることだという。
Cronは2016年初頭の時点で、ロシアの上位50の銀行を標的にしており、将来的に全世界に拡大して、米国やドイツ、フランス、シンガポール、オーストラリアなどの銀行も標的にする計画を立てていた。Group-IBによると、Cronは2016年6月、「Tiny.z」と呼ばれるトロイの木馬に月額2000ドルを支払っており、これにより世界中の銀行から盗むことが可能になっていたはずだという。
Cronのメンバーの大半は同年11月22日、計画していた国際的な窃盗を実行する前に逮捕された。最後の現役メンバーも2017年4月、サンクトペテルブルグで逮捕された。ロシア当局者は6つの地域で20人を逮捕した。それには、イバノボで逮捕された同グループのリーダー(30歳の男)も含まれる。
Group-IBがCronマルウェアを最初に発見したのは、2015年3月のことだ。そのとき、ハッカーたちは「Google Play」ストアや「Viber」の偽バージョンを作成していた。
Googleの広報担当者は、「当社はこのマルウェア群を数年前から追跡しており、今後もユーザーを守るため、その変種に対処していくつもりだ」と述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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