ドイツの研究機関、Fraunhofer IISが1980年代終盤から開発に取り組んでいた音声フォーマット「MP3」は、その後「より高機能で効率のよい音声コーデックが複数登場したにもかかわらず、消費者からの人気が衰えなかった」(Fraunhofer)。長期間オーディオコーデックのデファクトスタンダードの座を守ったMP3だが、Fraunhoferは「2017年4月23日に、TechnicolorとFraunhoferの一部MP3関連特許およびソフトウェアを対象とするTechnicolorのMP3ライセンスプログラムが、期限を迎えた」と発表した。
ライセンスは期限切れになったが、これでMP3の寿命が尽きたわけでないらしい。Mac ObserverのJeff Gamet氏は、MP3は画像圧縮技術のGIFと同じ道を辿る、と主張している。GIF特許の期限が切れて10年以上になるが、その当時より現在の方が広く使われているようだ、とした。
Fraunhoferによると、ストリーミング配信やテレビ、ラジオの放送といった最新メディアサービスでは、AAC系や今後のMPEG-Hなどの新しいISO-MPEGコーデックが使われているという。こうしたコーデックは、MP3に比べ機能が豊富で、はるかに低いビットレートでより高い音質を実現できるそうだ。
それでは、ライセンスプログラム終了は読者にどんな影響を与えるだろうか。読者がCDをMP3形式でリッピングしたり、オンラインストアからMP3音楽を買った場合は、これまで関係する企業がFraunhoferとTechnicolorにライセンス料を支払っていた。読者のMP3音楽は、これまでと変わらず再生できるだろう。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス