この週末にかけて、世界規模のランサムウェア攻撃によって、膨大な数のコンピュータが被害に遭った。今回のランサムウェアはMicrosoftの古いシステムの脆弱性をついている。世界中の病院や電話会社がこのグローバルなハッキング攻撃に巻き込まれた。マルウェアによってコンピュータへのアクセスを制限され、解除の条件として大金が要求された。
しかし米国時間5月12日夜、その攻撃の拡大が少なくとも一時的に停止したという。英国の若いコンピュータ研究者が、このサイバー攻撃のニュースに気付き、何が起きているのか調べようとした時のことだ。この匿名の研究者は、「少し調べてみて、その背後にあるマルウェアのサンプルを見つけた」とThe Guardianに述べた。The Guardianによると、この研究者は一連のコードの中に、怪しいドメイン名を見つけたという。また、そのドメインがまだ未購入で誰にも登録されていないことにも気づいたため、10.69ドルでそのドメインを買い取り、有効にしたという。それによって、攻撃の拡大は止まった。
The Guardianによると、無意味に見えたこのドメイン名は結局、コードの中で「停止スイッチ」としての役割を果たしていた。つまり、コードの作成者らは、ドメインを登録して有効にするだけで、サイバー攻撃を停止できるようにしていたのだという。
しかし、この研究者はこれについて事前に知っていたわけではなく、ただ運がよかっただけだったという。同研究者はそのドメインを購入した理由について、「ただ拡散状況を監視して、後でそれに対して何かできるか見てみようと思っただけだった。しかし実際には、そのドメインを登録しただけで拡大を阻止することができた」とThe Guardianに述べた。
しかし問題は、コードを書き換えるだけでハッカーらはそれをさらなる攻撃に利用できるということだ。また、今回の処置は、既に感染したシステムを救うことにはならない。「Windows」システムのユーザーは、関連するセキュリティアップデートを必ず適用する必要がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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