インドの物流問題に挑む「Locus」--ドライバーのシフト最適化、積み荷のアドバイスも - (page 2)

CEOが考えるインドの物流市場のこれから

 LocusのCEOであるNishith Rastogi氏は、過去にアマゾンでAmazon Machine Learningのアルゴリズム開発に従事。2年間アマゾンで働いたのち、PinchatというGPSを用いて近くにいるユーザーとチャットできるサービスで起業。その後、アマゾンでの経験を生かしてBtoBのサービスを提供したいと考え、アマゾン時代の同僚であるGeet Garg氏と昨年5月にLocusを創業した。

 「インドの非効率な物流インフラの状況には、サプライチェーンに関わるすべての人が管理しきれず閉口しています。しかし、物流網や配送サービスなどは顧客に最善なユーザー体験を提供する上で欠かせないもの。逆に言えば、こうした問題を解決できれば、それを利用する企業は大きなアドバンテージを得ることになります。私たちはそういった顧客目線に立ってサービスを提供しています」(Nishith氏)

創業者
創業者のNishith Rastogi氏(左)とGeet Garg氏(右)

 筆者は、実際にLocusの顧客が利用する管理画面と一連の利用フローを見せてもらったが、その完成度はとても高いと感じた。というのも、インドは配送計画を立てるにもUberやOla CabのようにGoggle MapのAPIを利用するだけでは難しいが、Locusでは「配送先の場所に車が入れるか否か」など細やかな点にも配慮された独自のサポートを提供していたからだ。

 リアルタイムで配送計画を最適化するための独自のアルゴリズムや、大量のデータトランザクションを処理しながらも安価なスマートフォン上でも動くようなアーキテクチャ設計など、サービスを実現するには高度な技術が欠かせない。しかし、Locusはそれを30人弱のチームで構築している。少人数で開発できた背景には、巧みな人材採用がある。

 「エンジニアのポストにはかなりの数の候補者から履歴書が送られてきます。しかし、必要で正しい人を採用するためにも技術面などは採用する前に細かく見るようにしています。履歴書から始まり、面接を通過しても、最終的に内定を出す前に一緒に一定期間働いてからお互いがハッピーだと感じられれば採用しています。結果、リファラル採用が多く、技術力がかなり高い人たちを揃えることができました。博士号を持つ人、個人で10万以上ダウンロードされたiOSアプリを開発した実績のある人、エンジニア向けのツールをオープンソースで作っている人たちもいます」(Nishith氏)

チームメンバー
Locusのチームメンバー。最近移転したばかりのオフィスにて

 現在は物流のSaaSアプリケーションを提供しているLocusだが、今後は「自動化」というキーワードを軸にさらにその世界観を多くの企業に提供していきたいと語る。

 「これまで人の手が介在してきた配送など物流は、コンピューターの進化によってより人の手を必要としなくなるでしょう。IoTの高度化が進めば、人が発注せずとも物が必要になった際に自動で配送センターに発注が飛び、自動で納品される。また、データが溜まってくれば、発注の頻度などを解析することでより高い精度で配送計画を組むことが可能となる。Locusのサービスでどんどん自動化を図っていければと考えています」(Nishith氏)

 年平均成長率12.17%を誇るインドの物流市場。まだまだ課題は多いが、Locusのようなテクノロジ企業がその成長をさらに力強く推し進めていくだろう。

(編集協力:岡徳之)

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