日立製作所は10月24日、スマートフォンに搭載されているカメラを利用し、高精度な指静脈認証を実現する技術を開発したと発表した。
指静脈認証は、生体の特徴を示すパターンが体内にあり、指紋、顔、声紋など他の生体認証方式と比べて偽造やなりすましが困難であるため、安全に認証することができる。しかし、肉眼では見えにくい指静脈パターンを読み取るため、これまで、赤外線を用いた専用センサが必要だった。今回の技術は、専用センサなしにスマートフォンのカメラのみで、高精度に指静脈認証が可能だ。
オンラインショッピングを利用する場合などに必要な本人認証手段として、生体認証の一つである指静脈認証を可能にするもの。これにより、パスワード漏えいやなりすましによる不正利用を防ぎ、より安全かつ高精度な本人認証が実現できるという。
今回の技術では、スマートフォンのカメラで撮影した複数の指のカラー画像から各指を検出し、指の静脈に特有な色合いの部分を強調して静脈パターンを抽出する画像処理技術を開発。静脈パターンを安定的に抽出できるようになった。また、色合いを抽出するため、変化しやすい皮膚表面のしわの情報と区別することができ、安定的に指静脈パターンを抽出できる。
さらに、 指をカメラにかざすときに生じる指の姿勢のずれを正確に補正するために、指の色や形の画像を学習させることで、画像に映り込む背景に左右されずに指領域だけを抽出し、各指の傾きや大きさを補正する技術も開発した。結果、指のかざし方の自由度が高まったほか、複数の指の静脈パターンを用いることで、認証の高精度化を実現したという。
日立によると、今回開発した指静脈認証技術に加え、これまで培ってきた暗号化技術などのセキュリティ技術を組み合わせたソリューションを提案するとしている。
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