ユーザーの成長にアプリが寄り添う--アドビが考えるクリエイティブツールの未来とは - (page 2)

山川晶之 (編集部)2016年10月21日 14時55分
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 東京ビッグサイトで開催されたAdobe MAX Japan 2016では、ゴビンド氏が基調講演に登壇した。同氏は「溺れてしまうほどあふれているデジタル体験において、一線を画して注目を集めるのは“真に素晴らしい体験”でなければならない。我々の存在意義は、美しいパワフルなクリエイティブによってインパクトのあるデジタル体験を実現し、世界を変革するお手伝いをすること」と、アドビの役割を説明している。

Adobe MAX Japan 2016に登壇したゴビンド氏
Adobe MAX Japan 2016に登壇したゴビンド氏

 また、「デジタルにより物事が非常に簡単になったが、それにより期待値も上がり複雑さも増している。消費者の行動が変わりデータ量も爆発的に増えた結果、デジタルディスラプション(創造的破壊)をもたらした。しっかり設計されたアプリ一つで、既存の産業が丸々なくなるリスクもある」とした上で、「しっかり作り込まれた体験の提供により、繁栄か死をもたらすか差が生まれた」と、デジタル時代における“体験”の重要性を説いている。

 現代におけるデザインのポジションについても、「デジタルによって私たちの生活は作り替えられた。よりシンプルにパーソナライズされ、PCやスマートフォンなどマルチスクリーンでつながることができる。こうした、他と一線を画す体験こそが変革の基礎となり、クリエイターこそがその体験を作り出す。デザインは、ますます重要な役割を果たす」としており、「すでに、適切な機能の提供だけでは不十分であり、質の高いデザインこそが顧客体験において一番の差別化要因」と述べている。

 「Apple、Amazon、Airbnb、Uberなどは、クリエイティビティを活用して素晴らしいユーザー体験を提供している。顧客の期待値も高く、ブランド自身も直感的でパーソナライズされ、ユーザーフレンドリーな体験が必要と自覚している」とし、「パワフルな体験は、あらゆるメディア、すべてのタッチポイントで提供されなければならない。期待値を超えるためにも、クリエイターはアイデアにもっと注力する必要がある」と、クリエイティブツール開発の背景を説明している。

現代におけるユーザーが求める“体験”の3要素
現代におけるユーザーが求める“体験”の3要素

――Adobe MAX Japan 2016の基調講演で、作り込まれたユーザー体験がデジタル時代に生き残ると話していましたが、アドビのアプリもさまざまな業界に大きな影響を与えていると感じています。

 そうですね。我々もパイオニアとして常に先端を行くようにありたいと考えています。もちろん、我々が開発するアプリの機能でも最先端を行きたいとは思っていますが、我々のツールを使って、ユーザーが何を実現できるかのパイオニアでもありたいと思います。

――アドビのツールにより、コンシューマのクリエイティビティも変化したと思います。

 Adobe XD(UI/UXのプロトタイピングツール。モバイルサイト・アプリのデザインからシェアまで一貫した環境を提供する)が良い例だと思います。プロフェッショナルが使うことで大変強力なエクスペリエンスを実現できるでしょう。このツールは、私自身もXDチームと密に連携して開発に携わりました。

UI/UXで高速プロトタイピングでき、シェアまで可能な「Adobe XD」
UI/UXで高速プロトタイピングでき、シェアまで可能な「Adobe XD」

――Adobe XDこそ“デジタルディスラプション”を実現するものだと思います。こうしたツールは要望があって開発したのでしょうか。それとも、必要性を感じての開発だったのでしょうか。

 両方の組み合わせです。PhotoshopやIllustratorは、スクリーンデザインでよく使用されるツールですが、そうしたデザインにおいて両ツールはパーフェクトではありません。ツールをリビルドするのではなく、それに特化したアプリを作るという発想でした。

――Adobe XDを使えば誰でもUI/UXを作り上げることができそうですが、プロフェッショナルの仕事を奪うことにもなりそうです。

 まったくクリエイティブではない人が、Adobe XDを使えば良いUI/UXを作ることができます。ただし、本当に素晴らしいクリエイティブを作る場合はプロフェッショナルが必要です。

 Adobe XDは、UI/UXデザインをできるだけ早く簡単にするという趣旨があります。これまでどのようにツールをコラボレーションすればいいか悩んでいた時間を純粋なクリエイティブ作業に注力することができるのです。

アドビが描く今後のクリエイティブツールの在り方とは

――アドビのクリエイティブツールは、今後どういった展開を予定していますか。

 できるだけモバイルアプリやサービスに価値を移行していきたいと考えており、今、それを模索している段階です。クラウドの中にアセットを格納する方法や、クラウドベースのワークフローの導入、マシンラーニングの要素を取り込むのも1つの方法だと思います。

――マシンラーニングをどのように活用しようと考えているのですか。

 一部すでにやっていますが、よりインテリジェントなプロセスをクラウド側で任せることです。「コンテンツに応じた塗りつぶし(写真内の不要なオブジェクトを消去する機能)」のような機能の場合に、モバイルで作ったアセットをクラウドに送信し、クラウドでより高度な処理を施すことで結果が改善されるといったことです。こちらも今模索中です。

――モバイルアプリでAR/VRを導入することは考えていますか。

 AR/VRは、我々がとてもフォーカスしている領域であり、大きく投資もしています。つい最近、VRのワークフローをPremiere Proに組み込みましたが、今後もそうした発表ができると思います。また、VRだけでなくARについてもエネルギーを費やしてリサーチしています。

――最後に、ゴビンド氏お気に入りのアプリを教えてください。

 Photoshop Sketchです。鉛筆のように絵を描けるのが楽しいです。私には10歳の娘がいますが、びっくりするような作品をよく描きます。

――テクノロジでクリエイティビティが広がるのは素敵なことです。

 デバイスもますますパワフルになりますし、キーボードやスタイラスなど周辺機器もパワフルになってきました。若い人もより使いやすくなり、結果的に若い人たちのクリエイティビティが発揮できる場になることは、とてもエキサイティングだと思っています。

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