マサチューセッツ工科大(MIT)の研究者は、WiFiの速度を3倍に、信号の到達範囲を2倍に拡大できるネットワーク加速技術を開発したと発表した。
MITコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)のチームが取り組んだのは、デバイス間でデータを無線で送受信するための周波数が制限されるというWiFiの帯域幅の制限を克服するシステムだ。その結果、複数のルータや無線アクセスポイントが並行的に複数の受信機器に向けてデータを送ることができる新しい信号処理アルゴリズムを開発した。同じ周波数を使うが、干渉はないという。
研究チームは「MegaMIMO 2.0」というこの手法を最新の論文で説明しており、リアルタイムの分散型MIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)システムについて詳述している。既存のルータを使いながら3倍の速度、2倍の範囲を実現するとしている。
このようなシステムは全般的な無線スピードを改善するが、特にコンサート会場やイベント会場、スポーツアリーナなど混雑するエリアで有用だと研究者らは考えている。こうした研究によって、周波数の利用を効率化できるようにすることで、企業や大学が数千人規模のユーザーに無線通信を提供する方法を変える可能性もあるだろう。
この手法は、MIMOを元にしたものだ。IntelのMIMOの説明にあるように、アンテナを増やすことで通信速度を改善できる。たとえば、3基のアンテナを持つルータは600Mbpsの速度で通信できるが、2台の場合は速度が300Mbpsになるという。
だが、アンテナの数を増やすことで周波数の制限という問題は解決しないとMegaMIMO 2.0の研究チームは指摘している。
「今日の無線の世界では、送信機を増やすことで周波数不足は解消できない。なぜなら、干渉の問題があるからだ」と論文の筆頭著者である博士課程のEzzeldin Hamed氏は記している。「これらのアクセスポイントが同時に動いて、利用できる周波数体を効率よく使うことが鍵となる」。
CSAILチームが開発したルータのオーケストレーションのためのアルゴリズムは、チームがMegaMIMO 2.0と呼ぶ分散MIMOシステムの土台となっている。
MITによると、この技術は「間もなく商用化される」という。だが、この技術をサポートする製品がいつ登場するのかについては触れていない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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