オランダの大学、Delft University of Technology(TU Delft)の研究チームが、銅(Cu)の原子を操作し、銅原子1個に1ビットの情報を記録する技術を開発した。この技術を応用すると、1平方インチに500Tビット(約62.5TB)の情報を記録できるメモリが作れるとしている。この記録密度は、現在もっとも高密度なHDDの500倍も高いそうだ。
研究チームは、銅原子の位置を0または1のデジタル情報とみなし、横96×縦126nmサイズで記憶容量8000ビット(1kB)のメモリを製作した。主任研究者のSander Otte氏によると、「理論上、この記録密度であれば、これまで出版されたあらゆる書籍のデータを、郵便切手1枚の面積に書き込める」という。
銅原子の操作には、走査トンネル顕微鏡(STM)を使った。STMで銅原子を動かすと、2つある状態のいずれかでその原子が安定するので、その位置を1ビットの情報とみなす原理だ。
ただし、この操作は、極めて高い真空度の環境で、液体窒素で77K(およそ摂氏マイナス196度)まで冷却しないと実行できない。したがって、「原子サイズのストレージが実現されるのは、まだまだ未来の話」(Otte氏)である。
なお、この研究成果のレポートは、英国の科学雑誌「Nature Nanotechnology」のウェブサイトに「A kilobyte rewritable atomic memory」として掲載された。
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