「Instagram」や「Twitter」などで、犬の耳や鼻をつけたり、ホラーメイクをしたり、口から虹を出したりと、不思議な自撮り写真が投稿されているのを見かけたことがあるだろうか。これは、顔認識アプリを使って撮影・加工した画像だ。
これまでセルフィーと言えば、綺麗に見せることがもっとも重要視されていた。目を大きくし、美肌機能などを使い、“盛る”ことが大切だったのだ。ところが最近は、盛るだけでなく“盛り上がる”が重視される傾向にある。
2015年9月に公開された「Snapchat」のLenses(レンズ)機能を使うと、このような変顔を撮ることができる。Snapchatはもともと、送ったメッセージや画像が設定秒数で消えるSNSとして広まっていたが、最近はInstagramなどに投稿するための“画像加工アプリ”として使われることも増えてきている。
機能公開直後に、ミランダ・カーやアリアナ・グランデなどが早速この機能を使って自撮りし、Instagramに投稿して一気に拡散。日本では、Instagramで人気の水原希子や渡辺直美なども、この機能を利用して投稿しており、若い女性たちに受けている。
Snapchatのほか、「lollicam(ローリーカム)」「SNOW(スノー)」「カメラ360」なども、顔認識機能アプリとして活用されている。LINEも「LINE egg」というアプリを出しており、「LINE camera」にも同様の機能が加わっている。
なぜ10代はこのようなコミュニケーションをしているのか。背景にある10代が置かれている状況と問題点について考えていこう。
10代女性を対象としたTesTeeの調査(2016年6月)によると、スマートフォンで週に撮影する写真の枚数は「5枚以下」が37.3%で最多であり、「スマートフォンで写真を撮らない」人は0人だった。写真の撮影対象は「友達」が22.8%でトップで、続いて「食べ物」(17.2%)、「風景」(15.2%)などとなっており、「自撮り」も11.1%いた。10代の女性はスマートフォンで日常的に写真を撮っており、自分を撮る割合も高いというわけだ。
「自撮りの練習はしますか」という質問に対しては、「頻繁に練習する」(4.1%)、「たまに練習する」(18.2%)、「練習したことはある」(29.9%)となっており、50%以上が自撮りの練習をしたことがあることが分かっている。自撮りを投稿する機会があり、自分を可愛らしく撮影したいという気持ちがうかがえる。
さらに、「自撮りをした後、その写真を加工しますか」という質問に対して、「絶対に加工する」(21.7%)、「よく加工する」(23.8%)、「加工することもある」(37.4%)など、80%以上が加工することが分かっている。利用する加工アプリには、LINE camera、SNOW、camera360などの名前が挙がっており、美肌効果・目を大きく・小顔効果などに加えて、おもしろ要素が加わってきていることもわかる。
自分を可愛らしく自撮りする心理は理解しやすい。女性は外見で評価されることが多く、綺麗で可愛いことは重要だからだ。しかし、コミュニケーション上では、その場を盛り上げることも重要となる。
SNSでは、写真を投稿すると反応率が良くなると言われている。たとえばFacebookなども、投稿に写真が「ついている」のと「いない」のでは、反応率はまったく異なる。ただし、受ける写真を撮るのはなかなか難しく、SNSに投稿する写真を撮るために出かけたり、物を購入する「ネタ消費」に走る層もいる。
そうした中、顔認識アプリを使えばわざわざ出かけたりしなくても、その場で簡単に受ける写真が撮れてしまうのだ。面白い加工にすれば、「面白い」「私もやってみよう」と良い反応がくるし、友達の間で流行すれば満足が得られる。手軽にSNSの良いネタになり、友達受けも抜群なのが変顔加工アプリというわけだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」