IoT通信キャリア「ソラコム」が海外展開を始動--24億円を調達

 IoTデバイス向けに通信サービスを提供するソラコムは5月11日、World Innovation Lab(WiL)やInfinity Partnersなどから、総額約24億円の資金を調達したことを発表した。2015年の創業以来、調達額の総額は約31億円となる。今後は、海外展開を開始するほか、ユーザーのフィードバックを反映する形で、サービスや機能を拡充するとしている。

ソラコム代表取締役社長の玉川憲氏
ソラコム代表取締役社長の玉川憲氏

 同社は、IoTデバイスにSIMカードを挿し込むことで、必要な時にだけ1日10円からの従量課金で利用できる通信サービス「SORACOM Air」を、2015年9月末に開始した。2016年4月末時点で、キヤノンや東急ハンズ、北海道の十勝バスなど、幅広い領域の2000社以上に導入されているという。

 最近では、自転車に乗っている仲間の位置をリアルタイムに地図上に表示するシャープのアプリ「スマココ」を使った自転車レースや、楽天Koboスタジアム宮城における電子マネー「楽天Edy」の決済端末などに採用されている。東海クラリオンのドライブレコーダーに保存された映像を、事故のタイミングで送信するといった用途にも活用されているという。

楽天Koboスタジアム宮城での決済に採用
楽天Koboスタジアム宮城での決済に採用

海外展開を本格始動

 サービス開始から7カ月で国内での導入企業数が2000社を超え、同社のパートナーエコシステムである「SORACOMパートナースペース」のパートナー数も150社を超えた。ソラコム代表取締役社長の玉川憲氏は、「幅広い業界のお客様にご利用いただけるようになり、1つ目のステージはクリアできたと思っている」と自信を見せる。

 今回の資金調達によって、次のフェーズである海外展開を進めたい考えだ。同社では、モバイル通信のコアネットワーク(パケット交換、回線管理、帯域制御など)とサポートシステム(顧客管理、課金)を、アマゾン ウェブ サービス(AWS)のクラウド上に構築していることから、海外の通信キャリアと組むことができれば、現地でのサービス展開も比較的容易と見ている。

SORACOMの特徴
SORACOMの特徴

 現在は、社内にグローバル事業専門のメンバーを設けて、国や地域ごとの市場の成り立ちや、IoTの盛り上がりなどの調査を進めるとともに、現地の通信キャリアとの交渉も始めているそうだ。展開するエリアについては言及しなかったが、「2016年中にグローバル展開を始めたい」と玉川氏は話す。

 もちろん、現地の企業向けの展開も考えているが、すでに同社の通信サービスを利用する国内企業からのニーズも高いという。たとえば、製造業の企業などは世界中で製品を販売しているため、国内と同様に海外でもSORACOMを利用したいという要望があるそうだ。そうした声に応えるためにも、早期に海外展開を進めたいとしている。

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