楽天は4月25日、ドローンを活用したコンシューマ向け配送サービス「そら楽」を発表した。第一弾として、ゴルフ場コース内での無人配送を実施。千葉県御宿町のゴルフ場「キャメルゴルフリゾート」にて5月9日から1カ月間、サービスを試験提供する。
楽天代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は、そら楽について「実証実験を一歩飛び出して、商用サービスとして展開するのはおそらく世界で初めて」と紹介。ゴルフ場をサービス場所に選んだ理由として、「広大な開けた空間であり、ユーザーニーズが明確であること、非人口密集地のため規制対策が比較的容易だったため」としている。
そら楽は、専用のスマートフォンアプリ(Android版を先行提供、iOS版も提供予定)から商品を注文する。アプリは食品や飲料水、ゴルフに関するアイテムをそろえる。また、商品の項目には重量が表示され、一度に注文できる重量は2kgまで。注文後は、専用デポに待機するスタッフが商品を配送用ボックスに梱包し、そら楽専用ドローン「天空」の機体に取り付ける。離陸、飛行、着陸、荷降ろし、帰還はすべて全自動で実施する。
ドローンは、2016年3月に楽天が出資した自律制御システム研究所(ACSL)が開発した機体を、楽天とACSLが共同で改良。新たに、荷物のリリース機能を搭載したほか、楽天技術研究所が開発した画像認識技術を活用した。配送先のドローン着陸エリアに置かれたマーカーを認識し、GPSと組み合わせることで精度の高い離着陸を実現している。
そら楽の利用には、楽天会員IDでのログインが必要。クレジットカードのほか「楽天スーパーポイント」が注文時の決済に利用できる。
ゴルフ場以外での展開も視野に入れており、高齢者が買い物に行きづらい地方など、ドローンならではの配送サービスも、地方自治体や監督官庁などと共同で実現を目指すとしている。こうしたドローンによる配送システムを確立し、安全面やコスト面から、最終的には楽天市場の商品での展開も検討していくとしている。
なお、そら楽のドローンパートナーにACSLを選んだ理由としては、日本に拠点を持つ企業であること、自社でフライトコントローラーを開発しており、他社と比べてシステムが極めて優秀であることを挙げている。自社開発のため、ドローンへの要望や改良もスムーズだという。また、ACSLのフライトコントローラーは強風に強く、風速8メートルまでであれば飛行できるので、日本でのサービス提供に適しているともした。
三木谷氏は、物流におけるドローンについて「少なくとも10年後には普及している。安全性という問題はあるものの、道路を走るという一次元の物流から三次元に広がるのは爆発的な効率性を可能にする」と述べた。また、ドローン機体のカラーにピンクを採用した理由として「黒だと威圧的に見えるため。イメージを少しでも良くしていけたら」と語った。
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