Amazonの配送用ドローンは斬新な発想だと思われているかもしれない。同様の技術を使って中国の新興企業Ehangが開発したドローンは、人を乗せて20マイル(約32km)超の距離を飛行する。
「EHang 184」は1人乗りの自律飛行機(Autonomous Aerial Vehicle:AAV)で、4本の折りたたみ式アームに取り付けられた2つ1組のローター計8枚で飛行する(「184」という名前はここから来ている)。米国時間1月6日、ラスベガスで開催中の2016 CESで発表された。バッテリ駆動式で、人を1人乗せて23分間、時速約60マイル(約96.6km)で飛行するよう設計されている。操縦はドローン自身が行う。
EHangの最高経営責任者(CEO)Huazhi Hu氏は声明で「184は、安全かつエネルギー効率の良い方法により、輸送業界が直面している数多くの課題に対処する実現可能なソリューションを提供する」と述べた。まずは通勤者や冒険好きの人々をターゲットとするが、Hu氏は、「EHangは、個人の旅行以外にも、多数の業界にわたって世界的な影響を及ぼす」としている。
ただしそれが実現する前に、EHangはその野心的なドローンにおいて、規制面での厳しい制約を考慮することが必要だ。
法律事務所Dentonsで航空分野を担当する弁護士Mark Dombroff氏は、「クリスマスにプレゼントされ、外に持ち出して飛ばしてみるという訳にはいかないだろう。今はまだ、(ドローンというよりヘリコプターとして)何を根拠に有人の飛行機とみなすべきかを議論している段階だ」と述べた。Dombroff氏はかつて、米連邦政府航空局(FAA)と米司法省(DOJ)の弁護士を務めていた。「おそらくは試験的なものになるが、何らかの耐空性証明を取得しないままこのようなドローンを販売することはできないだろう」(Dombroff氏)
EHangは、複数国の政府に働きかけ、これを操縦士免許なしで使用できるように取り組んでいるとしている。ドローンにはタブレットが搭載されており、実際に飛行するには、乗客がこのタブレット上に表示される電子マップで行き先をタップし、後はEHang 184が自動操縦する。
同社によると、こうした規制上の問題により、発売時期はまだ明らかになっていないという。価格も未定だが、このドローンを単なる億万長者向けのおもちゃにしておくのではなく、一般の人々でも購入できる製品にしたいと同社は考えている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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