紙と印鑑不要、ネット上のやりとりで契約締結--クラウドサービス「CloudSign」が開始

 弁護士ドットコムは10月19日、クラウド上で契約のやりとりを可能とする日本では初めてのウェブ完結型クラウド契約サービス「CloudSign」を開始した。

 これは一般的に紙と印鑑で行われている契約について、ドラフト済みの契約書のファイルをサービス上にアップロードし、双方がサービス上で契約内容を承認するだけで、契約が成立するというもの。締結済みの契約書はサービス上に自動でアーカイブされるため、利用者は契約書の検索が容易となる上、更新期限通知の設定も可能としている。

 利用料金として、1ユーザーかつ契約締結が月間30件まで無料で利用可能となるフリープランが用意。スタンダードプランは月額固定費用として1万円、契約締結費用が1件につき50円で、ユーザー数と契約締結件数を無制限に利用できる。

  • 「CloudSign」サイトイメージ

 契約の流れとして、契約書の送信者がCloudSignにアカウント登録したうえでログインし、送信したい契約書ファイル(PDF)をアップロード。相手方のメールアドレス、入力を求めたい項目(任意)を指定し送信。受信者はメールに記載されたURLをクリックし、契約書の内容を確認した上で入力項目を記載して確認を完了する。なお、契約確認依頼に記載されたURLは受信者のみが閲覧可能なユニークURLであるため、クリックにより本人認証が成立するという。契約締結完了後、双方のメールアドレス宛に、ねつ造や改ざん防止のため弁護士ドットコムの電子署名や付与された契約書ファイル(PDF)が届く。この契約書ファイルはCloudSign上でも自動でアーカイブされるため、CloudSign上で閲覧や管理を行うこともできる。

 日本の商習慣では前述のように紙と印鑑で行う契約締結が一般的ではあるものの、製本や印紙の貼り付け、押印、郵送などで時間と費用がかかるほか、契約書の管理も煩雑するなど保管の面でも課題がある。クラウド契約であれば契約締結段階のやりとりで時間を短縮できるほか、保管や管理においても省スペースかつ契約書を探すということも検索で手軽にでき利便性が高い。費用面のほか事務作業にかかっていた間接的なコストも抑えられるなどのメリットがあるという。

 ことセキュリティにおいてはID(メールアドレス)とパスワードでの管理次第というリスクが伴うものの、そこは紙の契約書でも破損や紛失、汚損、盗難のリスクがあるものと考えているという。契約書をクラウド上で一元管理することで業務の透明性の向上や、抜け・漏れを防ぐコンプアライアンスの強化にもつながると主張するとともに、CloudSignで締結した契約書はバックアップデータや写しではなく原本であるため、原本保全の確実性が高まるとしている。

 またオンラインサービスでの契約締結が法的に有効かどうかの疑問については、例外的に書面を交付することが要求される契約があるとしながらも、日本の法律では基本的に契約方式は自由としているため、CloudSignで契約を結ぶことに問題はないと説明している。

 すでに米国では契約管理システム、契約書支援サービス、契約締結アプリなど法律に関わるITサービスを総称したリーガルテック市場規模は急速に拡大し、5000億円にものぼるとされている。この米国での流れが日本でも波及するものと弁護士ドットコム側では考えているという。

 今後クラウド契約サービスとしての機能拡張はもとより、契約書作成支援や弁護士による契約書レビューなどといった展開も視野に入れ、事業領域を拡大していく方針としている。

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