ビジネス環境の変化に対応するワークライフバランス-- Organize Consulting 清水氏

エースラッシュ2015年11月05日 09時00分
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 「職『場』にとらわれない新たなワークスタイル最適化」をテーマとして、9月に開催された「CNET Japan Conference 2015」。必ずしも職「場」にこだわらない働き方や、仕事と生活の最適化を推進する方法、創造的な仕事と成果を出し続けられる環境整備など、新たなワークスタイルを考えるカンファレンスとなった。本記事では、Organize Consulting 代表取締役の清水久三子氏が登壇した特別講演「経営者が知るべき予測不能な時代のワーク・ライフバランス」をレポートする。

ワークライフバランスと関係する3つの変化


Organize Consulting 代表取締役の清水久三子氏

 Organize Consultingは、ダイバーシティ&インクルージョンおよび、ワークライフバランスに関するコンサルティングや研修などを手がける企業だ。代表取締役を務める清水氏は、1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現:IBM)へ入社し、企業変革戦略コンサルティングや人材育成の分野で数多くのプロジェクトを牽引。2013年に独立後は、ワークライフバランスに関するプロフェッショナルとして講師活動を行う傍ら、ビジネス書の執筆も手がけている。

 清水氏はまず「ワークライフバランスは、『人口動態の変化』『経営戦略の変化』『業務の変化』と密接な関係性を持っています」と語る。

 この中で、もっともマクロな視点から捉えたのが人口動態の変化だ。日本において、全体人口および15~64歳の生産年齢人口が減少し続けているのはご存じの通り。今後は育児や介護をしながら働く、メンタルヘルス不調など闘病生活を送りながら働くといった、制約社員の増加にもつながってくる。「気がついたら無制約に働ける社員が減っていた」という状況に陥らないよう、ワークライフバランスを考えることは、経営効率の観点からも重要になってくるのである。

さまざまな理由から増加を続ける制約社員 さまざまな理由から増加を続ける制約社員

 経営戦略の変化については、企業の戦略が短命化している点に注目した。清水氏は、売上高ランキング上位50社の滞留年数データを示し、トップでいられる年数が以前と比べて短くなっていることを指摘。ビジネススピードが速くなっているだけでなく、従来は戦略が経営資源を規定していたのに対し、今後は人材資源が戦略の幅を規定するようになるとの予測から、いかに“魅力的”な会社を作るかが最大の経営戦略になってくるという。このように、重要度を増す人材経営の在り方としては、会社選択の理由に関する年代比較データを挙げた上で、さまざまなニーズに対応するためのワークライフバランスを考える必要があるとしている。

売上高ランキング上位50社の滞留年数に見る戦略の短命化 売上高ランキング上位50社の滞留年数に見る戦略の短命化
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会社選択の理由に関する年代比較データ 会社選択の理由に関する年代比較データ
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 業務の変化については、ビジネスをスポーツの試合に例えて解説した。従来はルールや用具が詳細に規定されている、攻守交代制、与えられた打順・守備範囲の中で力を発揮することが求められるなど、いわば「野球型」のゲーム展開だった。しかし今後は、ルールや用具は非常に少ない、攻守がリアルタイムに切り替わる、ポジションがあっても流動的で状況判断が求められるという、「サッカー型」のゲーム展開へと移行していくのである。さらに、予測可能な時代から予測不能な時代へと移り変わることで、企業における各層に求められる能力にも変化が出てくる。たとえば経営層は「What能力(なにをするべきか)」から「Where能力(どこへ向かうべきか)」へ、管理層では「How能力(どうすべきか)」から「What能力(なにをすべきか)」へ、そして現場層では「Do能力(実行するか)」から「What+How+Do能力(なにをどうやって実行するか)」といった具合だ。

 清水氏は「業務の変化を考えた際、制約社員に対応するだけのワークライフバランスではなく、このような現場の状況判断や問題解決を促進するための、柔軟な働き方が求められています」と語る。

時代背景により求められる能力の変化
時代背景により求められる能力の変化

 続いて清水氏は、改めてワークライフバランスの定義と構成要素について解説した。

 まずワークライフバランスについて、同氏は“仕事と生活の好循環”と定義している。これは「生活の充実によって仕事が上手く進む」と「仕事が上手くいくことで生活が充実する」というサイクルを円滑に回すことで成り立つものだ。これは「仕事と生活の割合を○○%にする」といった、時間的な比率だけを表すものではない。現在から今後にかけては、業務を行う上でより高度な能力が求められ、成果へと結び付けるには広い視野やネットワークなども必要になってくる。しかし、これらを実際の業務内だけで得ることは難しいため、業務にかかる時間を効率的に削減し、空いた時間で業務に付加価値を出すための要素を得る、といったこともワークライフバランスに求められるのだ。

 ワークライフバランスの構成要素については「文字通り『Work』と『Life』だけでなく、もう少し細かく考えるべきです」と語り、「Work(仕事)」「Self(個人)」「Life(生活)」「Social(人間関係)」という4つの要素を挙げる清水氏。これら4つのバランスを支援して“貢献”を引き出すのが、経営視点でのワークライフバランスだという。たとえばWorkでは長時間労働是正やナレッジワーカーのインフラ整備、Selfでは能力開発/健康維持/ロイヤリティ、Lifeでは個人の制約を理解した施策、Socialでは社内外交流/多様性/シナジーなどが求められてくる。

ワークライフバランスの構成要素
ワークライフバランスの構成要素
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