9月10日に発売するRAW転送や選択転送ができるSDカード「Eyefi Mobi Pro」(16Gバイト版)がEyefi最後の製品か──。Eyefiは、ハードウェアビジネスからクラウドサービスへ本格的に軸足を移すことを明らかにした。
日本でも7月からEyefiカードの利用者向けに写真クラウドサービス「Eyefiクラウド」を開始したばかりだ。Wi-Fi搭載のカメラが増えていることに加え、「GoPro」などEyefiカードが入らないデバイスなどもEyefiクラウドに取り込みやすくする狙いがある。
Eyefiクラウドは、容量無制限で使える年間5000円の会員向けサービスだ。一眼カメラやスマートフォンなど、複数のデバイスで撮影した写真を1箇所にまとめて管理できる。写真は、アップロード時にオリジナルのサイズで保存できるのが特長だ。同時に、プレビュー用にリサイズされた画像も生成され、オフラインでもデバイスの容量を圧迫せずにAndroid/iOSアプリ「Eyefi Mobi」で写真を閲覧できるのも特長の1つだ。
GoProは、Wi-Fiでスマートフォンと接続した後、Eyefiの「Eyefi Mobi」アプリを起動すれば写真やビデオを撮影しながら転送できる。なお、対応モデルは、Android版は3/3+/4/Hero+LCDに対応し、iOS版は現時点ではGoPro 4のみ。今後、iOSでも順次ほかのモデルにも対応していくとのことだ。
同様に、オリンパスのコンパクトデジタルカメラ「STYLUS 1」と「STYLUS TG-860 Tough」、ミラーレスカメラ「OM-D E-M5 Mark II」「OLYMPUS PEN E-P5」でもオリンパスのアプリを使わずEyefi Mobiアプリと接続し、クラウドに取り込めるようになった。
オリンパス製品は、一度オリンパスのアプリでスマートフォンと接続したことがあれば、カメラのWi-Fiをオンにし、「設定」でカメラに接続した後にEyefi Mobiアプリを起動すれば撮影した画像を自動的に取り込める。ただし、Eyefiカードを使ったときのように、撮影しながらは取り込めない。実はEyefiカードにはCPUが搭載されており、カメラとは別にEyefiが第2のCPUのとしての役割を果たすことで、撮影しながら画像転送が可能になるという。
Eyefiに使い慣れたユーザーにはやや不便にも思えるが、Eye-fiカードは現在最大でも32Gバイトまでで、デジタルカメラで高品質な動画を撮るには容量が不足しがちだ。また、連写する場合にも、より高速に書き込めるSDカードを使えるメリットがある。
これまでのEyefiカードで長年に渡り主要カメラメーカーと協業してきたEyefiは、各メーカーの特長を知り尽くしており、場合によっては純正アプリよりも転送が速いこともあるという。まだ対応カメラは限られるが、利用シーンに合わせて使い分けられるようになり、今後はより便利になるだろう。
これまでハードウェア+ソフトウェアでビジネスをしてきたEyefiだが、今回の方向転換の背景には、デジタルカメラの販売台数の減少と、アクションカメラやウェアラブルデバイス、車載カメラ、ドローンといった新たなキャプチャリングデバイスの急激な増加がある。
米Eyefi CEOのMatt DiMaria氏は、「Eyefiカードは、カメラを購入したときに共に買ってくれることが多い。しかし、カメラの売れ行きが想定よりはるかに早いスピードで減速した」と明かす。
また、デバイスが増えたことで、「それぞれのメーカーがそれぞれのアプリを出し、さらには同じメーカーでもカメラの機種によってアプリが異なることも多々ある。そのため、ユーザーの写真がいろいろなところに散らばっている状態があるのではないか。これまでEyefiはスマートフォンとデジタルカメラを1箇所で管理しようしてきたが、新たなデバイスの登場で散らかり方が激しくなってきた」と話す。Eyefiのコアユーザーは、複数のデバイスを持つハイアマチュア層が多く、Eyefiクラウドで一括管理できればより便利になると説明した。
なお、「Eyefi Mobi Proが最後の製品になるかはわからない」(Matt氏)としているが、Eyefiiクラウドの強化に力を入れており、現時点で次のハードウェアの計画はないという。
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