クロス・マーケティングが相次ぐM&Aでアジア進出を一気に加速

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 マーケティング調査大手のクロス・マーケティンググループは11月14日、シンガポールに本社を置く同業のケダンス・インターナショナル・ビジネスリサーチの全株を最大2900万米ドルで取得し、買収すると発表した。

 ケダンスは2007年に英国で創業し、米国、インド、インドネシア、シンガポール、ベトナム、香港、UAEドバイの8カ国に拠点を展開。インドネシアでは国内3位のシェアを誇るなど、アジアにおける拠点展開と欧米を中心とする顧客基盤が特徴である。

インド、シンガポールで相次いで買収

 クロス・マーケティングが初めて海外に進出したのは、2012年2月の中国上海。現地に子会社を設立し、マーケティングリサーチサービスの提供などを中心に行ってきた。2013年7月にはインドの同業であるマーケティリクスを全株の51%を取得する形で買収し進出した。

 このときインドを選んだのは、先述の上海の拠点を含むアジアを面として捉え、展開していきたいという意図から。2013年における日本のマーケティングリサーチ市場の規模は約1800億円で、その伸びは2000年代初頭から鈍化している。一方、アジア全体では約6000億円の市場がある。2009年から2013年にかけての各国の年成長率は、中国が83%、インドが31%、タイが47%、インドネシアが72%、マレーシアが72%。この波に乗り遅れず、短期間でアジアのネットワークを構築する必要があったのだという。


アジア各国の市場成長率(クロス・マーケティンググループが作成)

 こうした背景から、2013年9月にシンガポールに子会社 クロス・マーケティングアジアを設立。日本とインドのマーケティリクスからそれぞれ1人ずつを派遣し、同国と周辺国での営業を行ってきた。さらに、進出を加速するためにアジアに顧客基盤を築いているパートナーを探していたところ、ケダンスが浮上。彼らの顧客基盤と、主に日系企業を顧客とするクロス・マーケティングの基盤が補完関係にあることから、今回の買収に至った。

 買収したケダンスの強みは、マーケティングリサーチの提案や分析、そしてレポーティングにおいても品質が高いこと。日本を含むアジアのリサーチ会社が顧客企業に提出するレポートは、結果だけが書かれたエクセルの数表とグラフをスライドに貼り付けただけのようなものが多いと聞くが、ケダンスではデザイナーによるインフォグラフィックス化も行う。顧客はより直感的に、結果のどの部分が重要なのかを理解することができるだろう。

 もう1つ、日本の一部のリサーチ会社ではすでに取り組んでいるが、人間の視点や脳波の動きを分析するサービスも提供している。例えば、広告会社などがテレビCMの効果を放映前に確かめたい場合などに有効だ。視点や脳波のような人間にとって無意識のデータは、取得すること、そして使いこなすことが難しいが、アジアではこれまで提供されてこなかった調査の手段として、今後需要が高まっていくものと思われる。

 また、ケダンスのリソースを活用することで、グループはアジア全域でのリサーチサービスをワンストップで顧客企業に提供できるようになる。それが可能な日系のリサーチ会社は限られるだろう。

中長期的にアジアナンバーワンに

 これから注力する国は、ケダンスの事業が伸び盛りのインドネシアやインド。次に新たに拠点を開設するならば、タイやマレーシアなど。その次は、中東アジアを成長市場として位置づけている。ケダンスは買収される直前にも、ドバイにオフィスを開設していた。中期計画として、2017年のグループ全体の売上が157億円、そのうち54億円を海外、さらにそのうちの40億円以上をアジアでの売上にすることを目標としている。そのために、まずは日本で付き合いのある年間1000社の顧客企業に、アジアのソリューションを提案していく。

 クロス・マーケティングは、今回の買収でさらにグループの規模が拡大し、従業員は1000人を超えた。しかも、そのうちの半分以上が外国籍で、多様な組織へと変化している。こうしたことを踏まえると、今後グループ全体としてどのようなブランドにしていくのか、経営層から社員全体にどのようにしてメッセージを発信していくのか、日本以外の国にある拠点とどのように連携していくのかなどは、これから解決していくべき課題であろう。

 しかし、そんな中でも見えているグローバルで目指していく像は、中長期的にアジアでナンバーワンのマーケティンググループになることだ。

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