意外とメカな初音ミクの電飾ドレス、6千個のLEDと基板に包まれる--近藤那央の興味津々

 初めまして、今月から不定期連載をさせていただくことになりました近藤那央です。ペンギンロボットを作っているTRYBOTSの代表で、慶應義塾大学環境情報学部に在籍しています。興味分野は人とロボットの関係。そんな私の興味の赴くままに、いろいろな方にお会いしたり新しい体験をしたことを書いていこうと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず初回は、ニニコニコ学会βやニコニコ技術部で一時期話題になった初音ミクの電飾ドレスから。前から着たかったこのドレスを着せてもらうことができました。

初音ミクの電飾ドレスとは何か

電飾部分を製作されたくとのさん
電飾部分を製作されたくとのさん

 初音ミクの電飾ドレスというのは、もともとは3年前の筑波大学の学園祭であしやまひろこさんという方のパフォーマンスのために作られたもので、縫製、電飾ともに一から作った光るドレスです。約6000個ものLEDが内蔵されており、マイコンによってLEDの光るパターンが制御されたり、音楽に合わせて光ったりします。これだけ多い数が使われているドレスは他にないそうです。

 ニコニコ学会βやニコニコ技術部で話題になっていて随分前から気になっていたドレスを、今回特別に電飾を製作されたくとのさんに着せていただけることになりました。

ドレスに隠れる“ロボコンっぽさ”

 さて。念願のドレスを着られる……!白いドレスに、レース……も確かにありましたが、大量のLED、コード、基板。これからドレスを着るようにはとても思えない光景にわくわくしてきました。

電飾器具と、初音ミクのウィッグ
電飾器具と、初音ミクのウィッグ

 この電飾ドレス、普通のドレスの着方とは全く違いまして、マニュアルに従って“装着”していきます。まず腰に基板、バッテリが入ったバッグを装着します。これが、実はとっても重たいのです。

腰に付ける基板とバッテリが入ったバッグ
腰に付ける基板とバッテリが入ったバッグ

 そしてこのバッグの中に入っている基板タワーがロボコン技術の応用だそうです。基板が綺麗にアクリルの中に収められていて、簡単には壊れないようになっていました。さらに絶対に同じコネクタを使わない、バッテリがなくなるとブザーが鳴るようになっている、といった安全のための工夫が随所にありました。約6000個ものLEDを光らせるためにはかなり大きな電力が必要です。電飾製作者のくとのさんがロボコンで培った技術を生かし、安全に安全を重ねる配慮がされていました。

ロボコン技術が使われている基板部分
ロボコン技術が使われている基板部分

約6000個のLEDの装着

 腰に基板部分を装着したら、下はレースのパニエを履き、いよいよLED部分の装着です。針金で編まれた鳥かごの様なものにLEDのリボンが巻いてあります。体感としては籠の中に入れられたようでしたが、これがきれいなドレスの“元”になるのです。

パニエの上に装着したLED部分
パニエの上に装着したLED部分

 そしてLED部分を装着し終えたら、その上からいよいよ白いドレスを着ます。LED部分の上からドレスを被るという事が、のちに全体が柔らかい光に包まれたようになるポイントだそうです。

 左腕にも電飾をつけ、ウィッグを被り、ショールなど小物を着けたら装着完了です。左上の電飾を操作すると、着ている人が電飾の光パターンを設定することができます。

やっと着ることができました!
やっと着ることができました!
初音ミクの電飾ドレス。ツインテールの根元に光る髪留めリングもお気に入り
初音ミクの電飾ドレス。ツインテールの根元に光る髪留めリングもお気に入り

 そしていよいよ、全ての装着が完了しました。電源を入れるとドレス自体が照明のように暖かく光り、とても約6000個のLEDが中に入っているとは思えないほど自然でした。

 普通LEDを巻くとクリスマスの飾りのようになってしまいそうなところですが、このドレスの電飾は内側から発光していて、布であるドレス本体と一体化しているので、非常に美しかったです。

 また、ツインテールの根元に光る髪留めリングが巻いてあるところが私のお気に入りでした。ここにピンクの光があるだけで随分華やかに、そして”初音ミク”らしくなりました。

ドレス背部はショールがかかりさらにに美しいのです!
ドレス背部はショールがかかりさらにに美しいのです!

 そして最後にもう一つ面白いところは外部電源ケーブルです。バッテリ駆動では光らせる時間が限られているため、外部から電源をとれるのですが、その太いケーブルをつけると、サイボーグを充電しているように見えるのです。かっこいい!

ケーブルをつなげると一気にサイボーグになったように見える
ケーブルをつなげると一気にサイボーグになったように見える

 実は初めてのコスプレ。しかも念願の電飾ドレスを着ることができ、いつもと違う雰囲気を楽しめました。見た目では基板などの要素を感じさせないというところがこのドレスのコンセプトだそうで、実際想像以上に自然でびっくりしました。内側からふわぁっと光るので、約6000個のLEDがついているのにごちゃごちゃした感じがなく素敵でした。

 今回この体験をしてみて、自分の興味分野であるロボットのことを考えてみるとこのような一見機械らしいところを見せないデザインというのは、人に受け入れられるロボットづくりにとても重要だなと感じました。デザイン的な要素は、ついついおろそかになりがちですが、ロボットの仕組みを考えるのと同じくらい真剣に考えなければいけない要素なのだと思いました。

近藤那央

プロフィール

ペンギンロボットを作っているTRYBOTS代表、慶應義塾大学環境情報学部在籍中の18歳。高校では機械科を卒業し、工作機械や、機械要素、そしてもちろんロボットが好き。興味分野は人とロボットの関係について。自分の好きなことをもっと広めるために製作、研究以外の活動にも力を入れている。デザインやファッションも好きで、よく行く場所は秋葉原と原宿。将来の夢はロボットを今のスマホのように普及させること。

https://twitter.com/nanaju_
Blog TOKYO FAB GIRL
https://www.facebook.com/trybots

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