ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア(SCEJA)は9月25日、ネットワークレコーダー&メディアストレージ「nasne」(ナスネ)について、システムソフトウェア バージョン2.50を配信する。
このアップデートで注目されるのが、nasneに録画したテレビ番組などを、外出先から視聴できる「Anytime TV」機能が追加されること。これによって、PS Vitaならびにスマートフォンやタブレット端末から、対応の専用クライアントアプリケーションを通じて自宅のnasneにアクセスし、放送中の番組や録画した番組が視聴できるようになる。テレビはテレビの前で見るものという概念を開放し、家庭内はもちろん外出先からも視聴が可能になる。
配信に先立って、メディア向け体験会が24日に行われた。
ひとつめのテストは、九州の鹿児島に置いてあるnasneに、PS Vitaから「torne PlayStation Vita」を通じて番組を見たり録画したりしたものを見るというもの。PS Vitaの接続は無線LANだが、SCEJAのネットワークではなくスマートフォンのテザリング機能を使用していた。ちなみにnasneのアップデートにあわせて、このtorneも2.00にアップデートする。
実際に操作をしてみると、torneの特徴であるメニューや番組表の切り替えのサクサクと快適に動く操作感は変わらず、そこでもたつくということはなかった。放送中のテレビ番組を視聴する場合でも、映し出されるまでの時間については、Wi-Fi接続と同じとはいかなかったが、それでも数秒程度で極端に遅いという感覚ではなく、映像や音声も普通に視聴できていた。録画されていた番組についても同様で、チャプター機能や可変再生にも対応。ビジュアルシーンサーチのサムネイル表示が少し遅いと感じられたものの、全般的には家庭内で操作するのとさほどかわらず、むしろnasneが鹿児島にあることに驚くぐらいのレスポンスとなっていた。
もちろん、快適に視聴できるかは通信環境によって左右されるのが正直なところ。開発担当者に話を聞いたところ、下りの速度に注目が集まりがちなのだが、nasneと接続している上りの速度や回線環境も重要なのだという。もっともADSLでは厳しいが、光回線であればおおむね問題ないとのことで、昨今の通信環境を考えると決して高いハードルではないだろう。またPS Vitaは3Gによる接続も可能だが、快適な視聴は難しいという。なお、利用するには設定画面にある「エニイタイムアクセス設定」をオンにする必要がある。ただ、これだけでリモート視聴の準備が整うという手軽さも魅力だ。
もうひとつのテストは、ソニー本社に設置しているnasneに、スマートフォンからAndroid用アプリ「nasne ACCESS」を通じて番組を視聴するというもの。こちらもバージョン1.50にアップデートしておく必要がある。また、Anytime TV機能を利用するにはアプリ内課金として税込500円が必要となっている。
こちらはスマートフォンの回線を無線LANではなく4G(LTE)で接続したものとなっていたが、こちらも視聴に関しては特にもたつくようなところは見受けられなかった。Anytime TV機能を使って視聴している放送中の番組を、ワンタップで録画を開始する「今すぐ録画」機能も用意されている。視聴には2モード用意され、速度優先モードで1Mbps、画質優先モードでは2Mbpsが必要とされている。
なお、ソニーのiOS/Android用アプリ「TV SideView」(テレビサイドビュー)についても、今後配信予定のアップデートにて、Anytime TV機能に対応するとしている。
ひとつ注意点として、リモート視聴は90日間有効。継続して利用するには定期的にWi-Fiでnasneと接続する必要があるとのこと。これは不正な視聴方法を防ぐ意味合いがあるのだという。とはいえちょっとした旅行や出張といった普段使いの範囲では、さほど気になる期間ではないようにも思える。
開発担当者との話のなかでは海外出張にも便利という話題もあり、実際に海外でも視聴できるかテストを行ったという。特別な手間をかけず自宅のテレビ環境やコンテンツを外出先で視聴できるのは魅力的。また録画コンテンツを書き出す手間と時間が軽減されるのも大きい。すでに環境や機器が整っているのであれば、一度試してみるといいだろう。
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