オプトは6月、ASEAN地域での事業拠点「OPT SEA」をシンガポールに新設したと発表した。事業展開および投資活動の強化、グループ会社のより効率的なオペレーションを行うという。同社の域内におけるこれまでの展開や今後について、OPT SEA代表取締役兼CEOの岩切隆吉氏(オプト取締役)と取締役の工藤正通氏(オプト執行役員)に聞いた。
2005年に韓国のネット専業代理店eMFORCEをグループ化、また2007年に中国・北京にシステム開発およびウェブ制作を行う現地法人を設立し、それぞれ進出しました。ASEANには2011年にタイで検索エンジンソリューションを提供するOptok(旧MCN)に出資して進出しています。
さらに、2013年3月にはシンガポール、マレーシア、インドネシアを中心に13カ国でアドネットワーク事業を展開するCDAを買収しました。同年9月には台湾に現地企業と日本およびASEANでネット広告の運用を行うジョイントベンチャーを設立しています。
タイはASEAN諸国において一定のGDPの規模があり、今後の成長にも期待できます。また、出資先企業のOptok(旧MCN)が同国の3大モバイルキャリアすべてに対してソリューションを提供する協業関係を築いており、今後も収益が見込めることが挙げられます。
アドネットワークのCDAについても似たような背景がありますが、特に我々が国内で培ったネットマーケティングのノウハウが活かせるビジネスモデルであったことが大きかったです。台湾については、ネット広告の運用を担うリソースを国内の拠点だけで確保するのは難しいという課題を2006年頃から抱えており提携先をずっと模索しておりましたが、ようやくその縁に恵まれました。
また、シンガポールを事業拠点にしたのは、タイやマレーシアなど各拠点同士のシナジー効果を高めたり、今後さまざまな新規事業案件を作っていく際に一番やりやすく、フレキシビリティのある国だろうと判断したからです。
タイのOptok(旧MCN)はバーティカル検索エンジンとアド配信ソリューションを提供しております。「バーティカル検索」とは、キーワードを元にあらゆる情報を全検索できるGoogleと異なり、「音楽」「映画」といったカテゴリ別のコンテンツあるいは、地域に絞ったローカルコンテンツなどをその言葉の通りバーティカルに振り分けて検索結果を出すというものです。
現在、タイの3大キャリアに提供しており、キーワードやカテゴリに連動した広告配信も弊社で運営しています。収益モデルは、これらの広告収入をキャリア各社とシェアするモデルです。
CDAではアドネットワークに加えて、DSPやメディアのバナー広告などの代理販売を行っています。競合差別化のポイントは、一部メディアにおいて総代理店として扱っている広告商品があること。また、我々が日本で培ったリスティング広告の運用ノウハウです。
最大の違いはその市場規模。ASEANは市場はまだ小さく、広告の在庫が少ないためスケールさせにくいのが難しいところです。しかし人口が多く、これからの成長に期待が持てることから競合は多い。各社が進出してくる理由はさまざまですが、グローバルの顧客企業が東南アジアに進出している以上、代理店も進出しないわけにはいかないことが背景にあると推測されます。
そうした厳しい競争環境の中で事業を推進していくためには優秀な人材が必要。しかし先述の通り市場が大きくないため、個人の報酬の高騰が企業の収益を圧迫するケースも起こりうるのが悩ましいです。
タイにおいては、展開しているバーティカル検索テクノロジと広告配信を、これまで培ったキーワードログからカテゴリ、そしてコンテンツあるいは広告までの導線分析ナレッジを生かし進化させていく予定です。モバイルキャリアのみならず、オンラインメディアを運営するすべての企業のサイトを対象にユーザビリティの向上、マネタイズの効率化をサポートできるようなマーケティングツールとして、レコメンド機能などを含む新規機能も追加していきます。
さらに新規事業領域においても、リードジェネレーションと呼ばれる情報アグリゲーションメディアなどの検索テクノロジを生かした自社メディアサービスを、2014年中に立ち上げる予定です。ヒト、モノ、カネ、スピードの適正な確保に注力します。CDAの事業においては、今扱っている広告商品で顧客を増やしていくことが重要で、2014年度の売上伸び率150%を目標にしています。そのために営業の体制強化を図ります。
他の国への進出の予定については、インターネットビジネスの分野でインドネシア、フィリピンなどへの進出を検討中です。機会があれば早期にと考えています。
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