2013年のモバイル業界

石川温が振り返る2013年のモバイル業界--ドコモのiPhone発売で転機

藤井涼 (編集部) 石川温2013年12月27日 08時00分
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 スマートデバイスの普及が進み、あらゆるビジネスの主戦場となりつつあるモバイル領域。2013年もさまざまなニュースが世間を賑わせましたが、モバイル業界に精通するジャーナリストの皆さんはどのような点に注目したのでしょうか。今回は石川温さんに、注目したモバイルニュースや、スマートデバイス、アプリなどを聞きました。

――2013年のモバイルニュースを3つを選ぶとしたら何ですか。

 1つ目がNTTドコモのiPhoneの取扱い開始と、SIMフリー版のiPhoneの発売です。「出る出る詐欺」とも言われ、なかなか発売されなかったドコモからiPhoneがようやく登場。それにともなって、SIMフリーのiPhoneがアップルから発売されたことは、ある程度、予想はできたものの、実際に出るとやはり驚きでした。

 しかも、「iPhone5s」と「iPhone 5c」が1モデルで3キャリア対応というSIMフリー端末としては理想的なスペックだったことも、アップルだからこそ実現できことだと思います。これで、すぐに日本でSIMフリー端末が普及するとは思えませんが、日本の市場が変わる第一歩なのではないでしょうか。

 2つ目がNECカシオモバイルコミュニケーションズとパナソニックのスマートフォン開発からの撤退です。ドコモの“ツートップ戦略”でとばっちりを受けた日本メーカー2社がスマートフォンから撤退というのは、うすうす予想はできていましたが、やはり現実となると悲しいものがあります。2社とも、ようやくスマートフォンの作り方を熟知し、良い製品が出始めたタイミングだっただけに残念でなりません。

 そして最後が、ソフトバンクの米Sprintの買収完了と、イー・アクセスとウィルコムの合併です。DISHとの買収合戦に勝利した孫社長は、サンフランシスコに拠点を移して、着々と米国の足場を固めているようです。一方で、日本国内はイー・アクセスとウィルコムを2014年の春に合併。さらに米国4位のTモバイルを買収する噂まで出ており、孫社長の野望がどこまで行くのかとても興味があります。

――今年購入した端末で一番のお気に入りは。

 SIMフリーのiPhone5sです。これまでもSIMフリーのiPhoneを使い続けてきましたが、香港や米国で購入していたので、手軽に日本で手に入るようになったことは、ありがたい限りです。

――今年よく使ったサービスやアプリは。逆に使わなくなったものがあれば教えて下さい。

 「DiXiM Digital TV」(DTCP-IP対応のホームネットワークプレーヤー)ですね。自宅に「nasne」(ネットワークレコーダー&メディアストレージ)を設置しており、海外出張中でも録画したテレビ番組を観られるのでこのアプリを重宝しています。長期の出張でも「あまちゃん」だけは毎日欠かさず観ていました。

 逆に使わなくなったのは「楽天Edy」です。オートチャージ対応のSuica付きのクレジットカードをiPhoneのケースに入れて持ち歩くようになり、コンビニなどでの決済もすべてSuicaになってしまいました。楽天Edyや他の電子マネー系サービスの出番が一気に減りました。

――2013年はモバイル業界にとってどんな1年だったと考えていますか。

 ドコモがiPhoneを発売したことで、スマートフォンブームの盛り上がりが一段落ついた感じがします。スマートフォンが一部の人のものではなく、すべての人に行き渡るようになったことを痛感しました。これからは端末の進化よりも、すべての人がスマートフォンを手にしたら、どんな革命が起きるのかという点に注目していきたいと思います。

――2014年は「コレがくる」という端末やサービス、トレンドなどがあれば教えて下さい。

 音声通話料金競争が本格化してくるのではないでしょうか。PHSやウィルコムがMNP(携帯電話番号ポータビリティ)の対象になりますし、大手通信キャリアはVoLTE(LTE方式の音声通話)を始めます。これまで高止まりしていたスマートフォンの音声通話料金にメスが入ると思われます。

石川 温(いしかわ つつむ)

日経TREDYの編集記者を経て独立。キャリア、メーカー、CPなどケータイ業界を幅広く取材する。ウェブ媒体での連載のほか、テレビやラジオでスマートフォン関連の解説も行う。毎週、スマートフォン業界のニュースについて分析するメルマガ「スマホ業界新聞」を配信中。

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