2010年に発売されて以来、年1回あるいは2回の新製品を発表し続けるアップルのiPad。今や手軽に扱えるタブレットデバイスとして、ホビー&ビジネスの両分野で確固たる地位を築いている。そんなiPadの2013年モデルが登場した。その名も「iPad Air」だ。
10月に行われた「Apple Special Event」で発表され、従来型と比べ“画面サイズを変えずに薄型化&軽量化されている”という特徴をもつ。
すでに「Wi-Fi」モデルと「Wi-Fi+Cellular」モデル(電話回線によるデータ通信対応モデル)の両モデルが発売済み。Wi-Fi+Cellularモデルに関してはKDDIとソフトバンクモバイルで取り扱われており、11月15日現在では、NTTドコモでの取り扱いはない。
カラーは「スペースグレイ」と「シルバー」の2色。容量は「16Gバイト」「32Gバイト」「64Gバイト」「128Gバイト」の4種類がラインアップしている。
まず、iPad Airを評価するためにも、スマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスのトレンドについて把握しておきたい。キーワードは「狭額縁化」(狭ベゼル化)だ。
省電力化が可能なIGZO液晶を展開するシャープなどが積極的にアピールしているので、言葉として知っている人も多いだろう。例え言葉を知らなくても、潜在的な欲求や実感として、ぶ厚いよりも薄い、重いよりも軽いというもの、小型・軽量というものをモバイルデバイスに求めているはずだ。その行き着く先がキーワードに挙げた「狭額縁化」なのである。
狭額縁化のポイント・本質は、ディスプレイサイズを“変えない”ところにある。iPadでいえば、第1~4世代のiPadとiPad Airは常に同じ画面サイズ「9.7型」だ。これにユーザーの求める小型・軽量という要素を組み込むわけだが、そこで狭額縁化という流れになるわけだ。ユーザーにとって、映像が映るわけでもない“縁”とは極めて無駄な部分である。しかし、内部はギッシリと詰め込まれており、メーカーがデザイン的な限界を強いられている部分でもある。
言ってしまえばiPad Airは、そうした要望に応えるべく登場したデバイスなのである。
スペック的な進化ポイントをおさらいしておこう。比較するのは第4世代iPadだ。まずiPad Airのチップには64ビットアーキテクチャを搭載する「A7」が採用された。これは「iPhone 5s」で初めて採用されたもので、第4世代iPadに搭載された「A6」と比べると、2倍の高速化が図られているという。このほか、無線LANの通信品質を向上させる技術「MIMO」にも対応。ボディサイズは、高さ241.2mm×幅185.7mm×厚さ9.4mmから高さ240mm×幅169.5mm×厚さ7.5mmとなり、重量(Wi-Fi)は652gから469gとなった。つまり、幅16.2mm、厚さ1.9mm、高さ1.2mmも小型化され、183gも軽くなったわけだ。
しかし、ボディデザインやサイズ、重量を除けば、第4世代iPadとiPad Airでカタログスペック的な違いはごくわずかだ。といっても、タブレットデバイスにおいてそれらは重要なセールスポイントであり、十分満足できる進化でもある。何かにつけて劇的な進化を求める声というものは常にあるものだが、今回のiPad Airは総じて満足できるものではないだろうか。要所を押さえて進化する。iPad Airはまさに“正統進化”したモデルといえるだろう。
ひとつ懸念があるとすれば、第3世代から第4世代へのマイナーチェンジといった発表がiPad Airでも起こらないかということである。2012年に発売された第3世代(3月発売)と第4世代(11月発売)だが、第3世代モデルのわずか8カ月後(1年未満)に第4世代が発売されたこともあり、第3世代を購入したユーザーが不満に思ったのも仕方がない。
第3世代と比べ第4世代の大きな違いは、チップの向上(「A5X」から「A6X」)や接続端子の変更(「Apple Dockコネクタ」から「Lightningコネクタ」)、HDビデオ撮影への対応のみだった。
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