AOLオンライン・ジャパンが運営するTechCrunch japanが11月12日に開催したイベント「TechCrunch Tokyo 2013」。イベント前半のゲストスピーチでは、「Airbnb」を運営するAirbnb Managing Director APACのOle Ruch氏が登壇。サービスの状況や日本進出について語った。
Airbnbは、個人や法人の部屋を宿泊用に貸し出すサービス。そのアイデアは空き部屋の有効活用から着想したものだという。米国で開催されるカンファレンスには多くの人が集まり、近辺のホテルは満室、もしくは空室でも価格が高騰しがちだ。そこで、自分たちの空き部屋を活用できるのでは? と創業者の3人は考え、「AirBed and Breakfast」という寝泊まりの場所を貸してもいい人と旅行者を結びつけるウェブサービスを立ち上げた。
「世界を知る方法の1つに、ホテルなどの宿泊施設ではなくそこに住む現地の人たちと出会い、会話をし、現地ならではの飲食店に足を運ぶことがある。これによってより充実した体験ができる。世界中で同様のサービスを提供し、多くの旅行者が喜ぶプラットフォームを展開したいと考え、事業化をスタートした」(Ole氏)
2008年10月から「Airbnb」として本格的にサービスを展開した。Ole氏は、これまでの「個人所有消費の時代から、他者と資産を共有化することで価値を生み出す時代が訪れている」と説明。Airbnbはそんな時代に“シェアリングエコノミー”を実践している企業だと語る。
「シェアリングエコノミーを語る上で、3つのキーワードがある。1つ目はeコマースなどのオンラインショッピング。2つ目はSNSを通じたソーシャル化。3つ目はオンラインとオフラインの統合。人々のつながりがオフラインとオンラインで融合が図られることで、そこに大きな市場が生まれている」(Ole氏)
2009年から米国以外にも部屋を貸し出すホストユーザーが増加し、世界中でAirbnbコミュニティが生まれていると語る。2013年10月現在で900万人のホストユーザー数へと飛躍的に増加。世界192カ国、3万5000都市以上に広がっているという。
「Airbnbユーザーは今や世界各地に広がっている。Airbnbを通じて、ローカルコミュニティに2億4000万ドル以上もの経済効果をもたらしたという調査結果もでてきている。こうした金銭的なメリットだけではなく、収入を得ることで教育費を払ったり、ホストの経験を通じて起業家となった人も誕生するなど、精神的な豊かさを得る手段にもなっている。多様な人と出会えるプラットフォームとして、旅行者だけではなくホストユーザーにとっても素晴らしい経験ができる場となっている」(Ole氏)
グローバルな旅行者ネットワークを通じて、さまざまな出会いやつながりを構築することがAirbnbのミッションだとOle氏は語る。ここ数年、同様な競合サービスが登場したが、その多くは報酬目的な意識だという。そうではなく、Airbnbは最高の体験を提供する伝道師でありたいと語る。
「100万人に好かれるサービスよりも、100人に本気で愛されるサービスでありたい。ミッションに共感したコアな人たちが“アンバサダー(本来の意味は大使。転じてファンになってくれるような重要な顧客)”となり、AirBnbを広げてくれる。これこそが、より良いサービスを提供するために必要なものだ」(Ole氏)
同社では日本チームを立ち上げ、本格的に日本国内のサービス展開を目指し活動しているという。現在では、20言語30通貨に対応し、ホスト補償として上限8000ドルまでの保険サービスも備えている。ローカルガイドサービスも立ち上げるなど、さらなるサービスの拡充を展開していきたいと語った。
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