事業加速の時期、経営者が担う役割とは--Origami、ビヨンド、MUGENUP、スクーが語る

モリジュンヤ2013年09月17日 11時01分
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 起業や経営は、会社の創業期、事業の成長期、M&Aや上場などさまざまなステージに分かれる。それぞれのフェーズを経験してきた起業家から経験談を聞くことは、今後それぞれのステージを迎える起業家たちにとって非常に価値のある経験になる。

 起業家予備軍や、これから資金調達など次の“飛躍”へ動く若手起業家に向けて、インキュベイトファンドは9月13〜14日、Demo DayとConference Dayからなるイベント「Incubate Fund Days(以下、IF Days)」を開催した。

 9月13日のDemo Dayでは、インキュベイトファンドが2010年から5回に渡って開催してきたIncubate Camp出身のスタートアップ19社が事業の進捗状況や自社サービスについてのプレゼンテーションを実施。9月14日のConference Dayでは、「1日で学ぶ経営者への道」と題し、インキュベイトファンドが支援している企業の経営者らによるディスカションが繰り広げられた。

 2つの目のセッションのテーマは、「事業加速期。会社を大きくするとはどういうことか」。1億円超えの資金調達を実施し、会社の社員数も20名〜50名となり、「創業期」から「成長期」を迎えた経営者らが自らの思いを語った。

 登壇したのは有名アパレルブランドが多く参加するモバイルコマースアプリ「Origami」を提供するOrigami代表取締役の康井義貴氏、絵文字共有サービス「エモジバ」やスマホ向けアドネットワーク「BEAD」などを提供するビヨンド代表取締役の一谷幸一氏、イラスト特化型のクラウドソーシングサービスを提供するMUGENUP代表取締役の一岡亮太氏、オンライン学習サービスを運営するスクー代表取締役の森健志郎氏が登壇し、インキュベイトファンド代表パートナーの本間真彦氏がモデレーターを務めた。

経営において何に時間を割いているのか

 個人や数人といった小規模での活動から成長フェーズへと入った彼らは、経営においてどういったことに時間を費やしているのだろうか? これに対して、一谷氏は新規事業のプロデュースとミドルマネージメントの育成などチームビルディングに時間を使っていると語る。一岡氏は日中のほとんどの時間は新しく人を雇うために使っているとし、「今は事業が回っている状態で、事業の運営はミドルクラスのマネージャーに任せている」(市岡氏)。一岡氏は採用において、「当たり前をどこまで追求できるのかが重要、意外とそれを追求できている人は少ない」とした。

 森氏も一岡氏と同様に、今は人材採用のために面接に日中のほとんどの時間を費やしていると説明。康井氏もこれを踏まえる形で「経営者の仕事は人とお金、そして大きなアライアンスを獲得すること」だと語った。

自分が作り出したものが誰かに届く喜び

 モデレーターの本間氏は、登壇者に会社のステージが変わり、経営者として楽しみにしていること、喜びを感じる瞬間について尋ねた。これまでイラスト特化のクラウドソーシングの仕組みを作ってきて、その事業もうまく回るようになり、ファイナンスも実施したばかりだという一岡氏は、「成長した会社のアセットを使いながら、次の大きなチャレンジ、0から1を作る挑戦ができることが楽しみ」と語った。

 「嬉しいと思う瞬間は組織文化ができあがっていると実感するとき」(一谷氏)。ビヨンドのチーム内で「こういうのってビヨンドっぽいよね」というコメントを聞くことができたとき、喜びを感じているという。森氏も、「新しく入ってきたメンバーが、本気でスクーのことを考えてくれているメンバーが増えているのが嬉しい」と語った。

 Origamiをリリースしてからまだ日が浅い康井氏は、最近公式アプリとして参加したファッションイベントの会場でユーザーの人から直接「アプリ使ってます」と声をかけてもらえたことで、「サービスを提供している実感がわいた」とコメント。ゲストのコメントを総括して、「自分が考えて世に問うたものに対して、そのリアクションが来ることは嬉しいこと」(本間氏)とした。

投資家との付き合い方

 投資家から投資を受けるとき、何をもって決断したかという質問に対して、森氏は「ビジョンを共有できること」とした。「投資家とビジョンを共有し、一緒にアイデアを構築し、数字に落としていく流れを一緒に考え、良きメンバーになってもらえている」(森氏)と、投資家にチームに入ってもらってのメリットを語った。

 一岡氏は、「この人と仕事をしたい」という思いを大切にし、投資家をチームメンバーとして考えていると語る。ただ一方で、「投資家に頼り過ぎないように気をつけなくてはいけない。頼りになるがゆえに、頼り過ぎないよう、自分のトレーニングを欠かさないようにしなければ」(一岡氏)と経営者としての心構えを明らかにした。

 一谷氏は、投資家の存在によるメリットとして「背中を押してくれること」を挙げる。「次の一歩で悩んだときに、どちらの判断が良いのか悪いのかはやってみないとわからないこと。投資家の言葉は判断の助けになっている」(一谷氏)とした。

 セッションの最後に、本間氏が「もしまた起業するとしたら、気をつけようと思うことは?」という質問したことに対し、森氏は「『たられば』は考えないタイプなので、考えたことはない」と回答した。森氏はスクーを起業するときにも、ある朝起きたときに起業のプランを思いつき、その日のうちに当時務めていた会社を退職したと説明した。「次起業するときも、迷うことなくすぐ行動に移す」(森氏)と語り、セッションを終了した。


左からスクー代表取締役の森健志郎氏、MUGENUP代表取締役の一岡亮太氏、ビヨンド代表取締役の一谷幸一氏、Origami代表取締役の康井義貴氏、インキュベイトファンド代表パートナーの本間真彦氏
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