ウェルセルフは9月4日、ニッセイ・キャピタル、オプト、アドウェイズ及びアイスタイル代表取締役社長兼CEOの吉松徹郎氏を引受先とした、第三者割当増資を実施したことを明らかにした。調達額は約1億5000万円。出資比率は非公開。
同社は、個人の持つ知識やスキルをワンコイン(500円)で販売するCtoCプラットフォーム「ココナラ」を運営。ココナラは8月末時点でユーザー数は6万3000人、出品サービス数は1万400件、累計成立取引数は4万3000件を突破した。
ウェルセルフ代表取締役CEOの南章行氏は、利便性の向上とサービス拡大を図るため、今回の調達をもとにエンジニアリングの強化と人材獲得を進めると説明する。同時に、(1)評価の高い出品者に対して、500円以上の価格設定ができるオプション料金機能を10月にも実装、(2)スマートフォンアプリの開発によるマルチデバイス対応、(3)出品サービスのチェック体制やカスタマーサポートの強化――の3点を進める。
南氏は、大学卒業後に三井住友銀行に入行。その後、企業買収ファンドのアドバンテッジパートナーズ在職中にMBAを取得するためにイギリスに留学。留学の際に高校生を中心とした若者の育成支援を目指す国際NPOの日本法人立ち上げに関わり、その後NPOと支援者をマッチングする「二枚目の名刺」というNPOを立ち上げた。2つの団体の立ち上げを通じて、「自身のちょっとしたスキルや能力が、誰かの価値となる。こうした体験が自分の自信や成長につながると実感した」(南氏)ことから、この思いを広めていくサービスを手掛けるべくウェルセルフを創業した。
創業当初は、ヘルスケアビジネスを企画していたという同社。とある管理栄養士との出会いをきっかけに、栄養相談など「日々のちょっとしたニーズ」に応えるためのマイクロプラットフォームの提供を検討。これが現在のココナラの原点になっているのだという。
同社がココナラを立ち上げたのは2012年7月。販売価格を一律500円の値段設定にしたのは理由がある。“モノ”を販売するECではなく、スキルや知識などの”サービス”を販売するサイトのため、値段を統一することで利用者の心理的なハードルを下げ、出品者とマッチングしやすい環境を作ったのだとという。同時に、“単純なお金儲け”のサービスとしてだけではなく、出品者がスキルを試す場として利用したり、誰かの役に立ちたいというニーズに応える場として利用してもらいたい思いもあるという。
すでにココナラを自身のスキルの腕試しとして利用する技術者や、ココナラで実績を積み、実際に転職しコピーライターになった人もいるという。「自分の好きなことを仕事にしようにも、いきなり起業するのはハードルが高い。まずは500円からスタートして実績と成功体験を作ってもらっている。“お試し”の機会を通じて良い仕事をしてくれた出品者が継続して仕事を受けたり、正式な雇用契約へとつながるってもいる。金額以外の目に見えない価値が交換される場所として利用されている」(南氏)
出品者の自己実現、そして1人1人が何ができるかを可視化し、マッチングしていくことがココナラの目的だという。そのため、運営側も出品者に対して積極的に情報公開をし、サービスづくりのため、ユーザーからのフィードバックを取り入れているという。
「自身のスキルが人の役に立ち、そこから好きなことを仕事や生きがいとし、さらに儲けもだしていく。利用する側も、ちょっとした分からないことがあれば、地方にいてもどこにいても、まずは500円でココナラを調べて気軽に相談できる場でありたい」(南氏)
利用者間ののやりとりはすべて非公開で、本人同士しか把握できないようになっている。非公開だからこそ、オープンにできない個人的な悩みや相談も、気軽にできる環境になっているという。500円以上の価格を設定できるオプション料金は、「ワンコイン」を軸としつつも、評価の高い出品者に対して、より充実したサービスを提供するための仕組みだ。「評価の高い出品者が、さらに良いサービスを提供できる1つのきっかけとして展開していく。ほかにも、出品者にとって意味のある機能を順次追加していく」(南氏)
現在4名の社員は、10月には10名となる予定。インターンなども含めると20名以上の体制でサービスを展開していく。今後は、1年間でユーザー数を60万人、出品者数および月間の取引成立数10倍を目指す。
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