顧客のニーズに合ったモバイルアプリやウェブアプリを目指して、アプリケーション開発の世界は急速に変化している。これは、IT業界がアプリケーションの開発方法を変え、成果の測り方や、ビジネスの現場に届ける価値の測り方をも変えていく必要があることを意味している。現在の環境(例えばインターネットの存在など)では、もはやアプリを完全にコントロールすることはできないし、環境によってアプリの性能も影響を受けるようになっている。この記事では、そのような状況でも、今後も価値を提供していくために、IT業界が今すぐ取り組むべき10の項目を挙げることにする。
アプリケーション開発プロジェクトは、その組織が持つ長期計画のフレームワークの枠内に位置づけられる。しかしそれは、必ずしも大きなアプリケーション開発プロジェクトが(少なくともプロジェクトの目的や予想される成果の観点で)、企業の長期計画とリンクしていることを意味しない。これができれば、ITが専門でない役員も、重要なアプリケーション開発が行われていることを知ることができ、その作業がビジネスに対して与える恩恵についても理解し、支持するようになるだろう。
近年ではエンドユーザー体験(EUE)が重視されるようになってきている。多くの企業はすでに、アプリケーション開発者の責任を拡大し、エンドユーザーがどのように感じるかを積極的にテストする役割を負わせている。この作業は、アプリケーションのユニットテストの一部として行われる。品質管理の性格を持つ役割をアプリケーション開発者に負わせることは、開発しているアプリケーションが、エンドユーザーに何を提供すべきかを考える視点を開発者に与えることになる。
例えば、作っているアプリケーションが、財務部門にリアルタイムの財務分析機能を提供するものだとすれば、これを財務部門が完全性、正確性、タイミングを評価するための「サービス」だと考えるべきだ。同様に、アプリケーションの成功を測る物差しも、エンドユーザーから見て(この場合財務の観点から見て)、最終的なビジネスの目的を果たすために(例えば金融資産ポートフォリオの健全性の管理)、そのアプリケーションがどの程度貢献したかを示すものであるべきだ。これは、アプリケーション開発者がなじんでいるもの(起動時間、スループット、修復までの平均時間など)とは異なる基準だ。ビジネスサービスに焦点を当てれば、技術指向のスタッフの目を、アプリケーションがビジネスに対して何を提供できるかに向けさせることができる。
アプリケーションを自社のIT環境の中だけでテストしても、インターネット越しに異なる地域で利用するユーザーでも、同じ結果が得られるかはわからない。インターネット接続が貧弱な地域も多いが、そのような地域では十分なユーザー体験は得られないかもしれない。インターネット環境テストツールプロバイダは、社外の環境でアプリを使った場合の、通信機能の弱点を見つけるのを支援してくれる。その弱点を理解し、軽減するのに、これを役立てるべきだ。
多くのハードウェアメーカーやソフトウェアベンダーは、製品が最高の性能を発揮するのに適した設定を、あらかじめ用意(プリセット)している。また、知識のあるユーザー向けに、それらのデフォルト設定を変更する機能も用意されていることが多い。しかしアプリケーションを開発する際は(よほど経験を積んでいない限り)、そのアプリで使用するソフトウェアやハードウェアにプリセットされている設定を用いるべきだ。これによって、開発に使用しているプラットフォームで、標準的なアプリ開発のベストプラクティスや、設定によって通常の性能から逸脱した場合に発生する可能性がある、予期できない性能問題を避けることができる。
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