2.5次元からリアルへ--恋愛シミュレーションゲーム「ドリームクラブ」が舞台化

 ネリムは、ディースリー・パブリッシャーの恋愛シミュレーションゲーム「ドリームクラブ」をテーマにした舞台演劇「舞台ドリームクラブ」を、2013年8月にラゾーナ川崎プラザソルで行う。

  • (C) D3 PUBLISHER

 ドリームクラブは、2009年8月にコンシューマー用ゲームソフトとして発売され、続編である「ドリームクラブ ZERO」を含めて多機種にリリース。ピュアな心の持ち主である男性だけが入会できる大人の社交場「DREAM C CLUB」を舞台に、そのお店で働く純粋で清らかな心を持ったホストガールと出会い、限られた時間のなかで、お店での会話を楽しみながら恋愛物語が展開されるというゲーム内容。“ピュア紳士”と呼ばれる熱心なファンを生み出したことで知られている。

 舞台化にあたり、深寅芥氏が演出を担当する。深寅氏は出演者が女性のみの劇団として活動している「空間ゼリー」や、アップフロントエージェンシーの公演などを手掛けた演出家。ハロー!プロジェクトの演技講師も担当したこともあるという。

  • 深寅芥氏

 舞台ドリームクラブのキャストについては、中心となるホストガール役を一般公募実施。舞台やテレビドラマなどで活躍する女優を中心に、声優、グラビアタレント、雑誌モデル、コスプレイヤー、タレントなど200名を超える応募があったという。オーディション合格者によって「劇団ドリームクラブ」を結成し、稽古の中で配役を決め、8月の公演を行うとしている。

 舞台化は、深寅氏から企画を打診して実現したもの。これまで女性中心の劇団や演技指導を長年行ってきた経験を活かした、舞台化の原作作品を探していたという。深寅氏から見たドリームクラブの魅力は、キャラクターの設定が服装や人間関係といったところまで細かく作られていることや、ゲーム中にプレイヤーのリクエストに応じてカラオケを歌うという場面があるが、その楽曲の豊富さなどを挙げた。

  • 書類選考を通過した100名ほどを対象として、都内でオーディションを開催。演技や歌唱審査などが行われた

 一般公募、そして「劇団」と名乗ることも深寅氏からの提案。ゲームでは、ホストガールによってはプレイヤーが初めてのお客様で、たどたどしい接客を見守るというシチュエーションもある。そしてそこから成長していく姿を見守りつつ、親密になって距離感を縮めていく。そんな育てていく感覚をゲームから感じ取ったという。

 「たどたどしさからキュンとする感覚ってあると思うんですよね。それをリアルで表現したいというのはありました。また、劇団と名乗らせてほしかったのは、チームプレイや仲間意識というのを出したいんです。ゲームで好きなキャラクターを育てている感覚をリアルでも感覚としてリンクさせて、そしてこの劇団そのものも成長していきますので、その姿を反映させることができれば面白いと思ってますし、そんな金の卵となる子に会えたらという願いから一般公募にしました」(深寅氏)

  • 右側がディースリー・パブリッシャーの岡島信幸氏。中央は、「ドリームクラブ」を仕切るフィクサーのドリームエックスクリエイト代表。「あくまで僕は、彼の代弁者です」(岡島氏)

 原作側である「ドリームクラブ」シリーズのゲームプロデューサーを務める、ディースリー・パブリッシャーの岡島信幸氏は、ドリームクラブが3Dの表現手法を用いて、2Dのようなかわいらしさを持つ女の子がリアルに動くという“2.5次元”を目指していた作品だけに、舞台化の打診があったときには、本当の実写になったときにどういう表現になるのか、そしてファンの方がどのように思うかについて興味が湧いたという。「舞台化にあたっては、舞台として訴えかけるより良い形があるはずなので、キャラクターを全員登場させるようなことにはこだわらず、舞台として面白い形にアレンジしてもらえたら」(岡島氏)と、深寅氏の演出力に期待を寄せていた。

 ストーリーについては作家に依頼中とのことで、現段階でどのような内容か、そして登場人物については未定となっている。「キャラクターの設定や、魅力と感じているポイントはしっかりと活かしていきたいし、ドリームクラブという場そのものも大事にしたい。舞台とはコピーをすることができない、アナログ中のアナログのものです。音楽や映画は広く拡散されるものですけど、舞台は劇場の中でしか提供できません。原作のファンの方やお芝居に興味のある方が、ドリームクラブという空間に一緒にいる空気を感じ取ってもらえるような作品にしたいと思います」(深寅氏)

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