リアルとオンラインをつなぐウェアラブルデバイス「TelepathyOne」 - (page 2)

 井口氏と言えば「セカイカメラ」や「tab」を開発した頓智ドットの創業者。なぜ独立し、テレパシーを起業するに至ったのか。「セカイカメラはもともとハードウェアとして提供することを考えていた。有機ELの半透明のディスプレイにエアタグを映し出すことで、ハードとリアルがゆるやかにつながる、『スケスケ社会』を目指したかった」(井口氏)。

 しかしセカイカメラを発表した2008年当時は開発環境が整っておらず、ハードウェアベンチャーとしてやっていくのは難しい状況だったと語る。そのため、ハードではなく当時発売されたiPhoneをベースに、アプリケーション開発を通じて、「セカイカメラ」の開発をおこなった。「『(ハードウェアではなく)アプリを作っている』と言われることに違和感はずっとあった」(井口氏)。

 だが2013年現在、資金調達や予約販売としてクラウドファンディングを活用し、プロトタイプは3Dプリンタで安価に作成できる。中国ではこれまでよりローコストで工場での生産が可能で、物流網にはAmazonを利用できる。小さな会社でもハードウェアビジネスにチャレンジできるように環境が整ってきたことから、テレパシーを立ち上げたという。

 冒頭にあった漫画アプリ for Telepathyは、実験的に提供されるTelepathy One専用のアプリだ。井口氏は今後、漫画アプリ同様にサードパーティー製のアプリを自由に利用できるよう、プラットフォームも開放していくという。

 天気やゲーム、ニュースやナビゲーションなど、現在iPhone上で使われているアプリをTelepathy One上で使うことも可能となるという。世界中の人たちとTelepathy Oneを通じたエコシステムを作ることで、「『どこでもドア』な世界になれる」と、井口氏は語る。

 気になる販売スケジュールだが、2013年中には注文の受付ができるようにするとのこと。価格帯については「消費者が気軽に買えるよう設定する」という。「iPhoneやiPadと同じように、エッジな人から次第に一般の人へ広がることで新しい生態系できてくるのでは」(井口氏)

 Telepathy Oneの開発には、エンジニアを中心に多くの日本人が参加している。「たとえば光学設計などは日本の技術は優れている。日本人のものづくりを世界に発信していくためにも、Telepathy Oneは存在している」と井口氏は語った。

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