スマホでもなりすましやマルウェア対策を--100万ダウンロードの「Lookout」が日本で本格展開

 スマートフォンの普及にともない、Android端末を中心にモバイル機器を狙ったマルウェアや悪意のあるサイトが増加している。またその手法も、人気アプリに偽装するリパッケージアプリやプッシュ広告を通知するタイプなど多岐にわたる。

 こういった状況を受け、日本国内でも有料・無料を問わず数多くのセキュリティアプリが提供されているが、その中で新たに日本市場への本格参入を目指すのが、モバイルセキュリティアプリ「Lookout」を提供する米Lookout社だ。2012年2月に公開した日本語版のAndroidアプリが約1年で100万ダウンロードを突破。米国に次ぐ2位の規模にまで成長していることから、今後は国内での人材確保や通信キャリアとの連携も視野に入れる。

  • 世界で3000万ダウンロードを突破

 Lookout社は、2007年に米サンフランシスコで設立されたモバイルセキュリティに特化した企業。iOSやAndroid向けにセキュリティアプリを提供しており、現在は世界170カ国で約3000万ユーザーに利用されている。また、AT&T、Sprint、ドイツテレコムなど各国の通信キャリアと提携しており、各社端末に同社のアプリがプリインストールされているという。

 Lookout社が特に力を注いでいるのがAndroid端末向けのセキュリティアプリだ。同社によれば、約3000万ユーザーの約100万のアプリが日に5億回ほどスキャンされており、それらのデータは独自のデータベース「モバイル脅威ネットワーク」に蓄積されているという。ここでの解析結果をもとに機能を開発することで、最新のマルウェアやスパイウェア、トロイの木馬などの脅威から端末を保護できるとしている。

スキャンから端末探索まで幅広くカバー

 Android向けのセキュリティアプリは、無料版と機能を拡充したプレミアム版(月額250円)の2種類を用意している。

  • 「Lookout」の利用イメージ

 無料版は、通常のセキュリティスキャンに加えて、サイト上の番号にタップすると自動発信する“クリックコール”の電話番号をスキャンする「セーフダイアラー機能」を搭載。端末紛失時の探索機能も充実しており、紛失・盗難時にウェブサイトからGoogleマップ上でスマートフォンの位置を特定できる。Lookout 国際製品担当ディレクターの阿久津みか氏によれば「3秒に1台のペースで端末の位置検索が行われている」という。そのほか、バッテリが切れる直前の端末位置情報を自動で保存する「シグナルフレア機能」なども搭載する。

 プレミアム版では無料版の機能に加えて、スマートフォンにインストールしたアプリがどのような個人情報にアクセスできるかを表示する「個人情報検出機能」を搭載。訪問したウェブサイトから誘導されるフィッシングサイトや悪意のあるサイトから端末を保護する「セーフブラウジング機能」も提供する。

 さらに、端末紛失時には遠隔操作で端末をロックしたりデータを削除したりできる機能を搭載。無料版では、アドレス帳のみクラウド上にバックアップできるが、プレミアム版では写真や通話履歴などもバックアップ可能だ。

紛失時に安心な2つの新機能

 2月28日にはLookoutの最新バージョンが公開された。従来よりもシンプルなユーザーインターフェースを採用し、アプリの動作をタイムライン形式で確認できるようにした。また、端末の紛失・盗難時に役立つ新機能として「ロック画面」と「Lock Cam」が実装された。いずれもプレミアム版向けの機能となる。

 ロック画面は、リモートロック機能によってロックしたスマートフォンの画面上に、ユーザーが作成したオリジナルメッセージを表示できる機能。たとえば「端末を返却してください!連絡先は×××-×××です」といった文言を画面上に表示することで、端末の発見者が持ち主に連絡を取りやすくなる。

 Lock Camは、ロック解除用のPINコードやパスワードの入力を3回以上間違えると、自動でその人の顔写真を撮影し、端末の位置情報とともに持ち主に電子メールで送信する機能だ。この機能によって、端末が悪用されるリスクを軽減できるとしている。

  • 「ロック画面」機能

  • 「Lock Cam」機能

2013年は日本展開に本腰

 同社によれば、独自のアプリマーケットが多数存在する中国やロシアでは、モバイルマルウェアやスパイウェアの感染率が増加傾向にあるという。一方で、日本は通信キャリア各社によるセキュリティ対策などの効果もあり、世界的に見ても感染率が低いという。

 最新バージョンのリリースに併せて来日した米Lookout コミュニケーションディレクターのAlicia Divittorio氏は、日本のモバイルユーザーの特徴について「驚いたのは(日本のユーザーの)セキュリティへの意識の高さ。感染率が低くても事前にリスクを防ごうと考えている人が多い」と語る。

  • 米Lookout コミュニケーションディレクターのAlicia Divittorio氏(左)と国際製品担当ディレクターの阿久津みか氏(右)

 また、前述したように2012年2月にリリースした日本語版のAndroidアプリは、大きなプロモーションもなくリリースから約1年で100万ダウンロードを突破した。ダウンロード後の継続使用率についても世界と比べて高いことから、2013年は日本での事業展開を強化していく。

 「2013年は本腰を入れて日本展開をしていきたい。まずはマーケットをよく把握し、現地の人材によるチームづくりからはじめて、その後日本のユーザーに対してどのようなサービスを展開すべきか考えたい。日本の通信キャリア各社とも話を進めていく」(Divittorio氏)

 また、Lookoutは現在約3000万ユーザーに利用されているが、将来的には「世界で億単位のユーザーに利用されるセキュリティサービスを目指したい」(Divittorio氏)と意気込みを語った。

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