7月5日から6日にかけて開催された招待制イベント「B Dash Camp 2012 Summer in Niigata」。6日のセッションにはNHN Japan(NHN)執行役員 CSMOの舛田淳氏が登壇。プラットフォーム化や段階的なプラットフォームの開放を発表したばかりのコミュニケーションサービス「LINE」の今後について語った。
6月末の時点でユーザー数4500万人、日本国内のユーザーは2000万人。月間アクティブユーザー(MAU)も82%、ユーザーは女性が6割強を占める。
無料通話とメッセージが利用できるLINE。通話の利用も増えているが、最も利用されているのはメッセージだという。「通話機能とは比較にならない」(舛田氏)勢いで利用が増えており、最近ではキャリアメールの代替ツールとしての利用のほか、グループでメーリングリストとして利用するケースなどもあるという。「NHNにも社内用メッセンジャーがあるが、今ではLINEを使うようになった」(舛田氏)
FacebookやTwitterを超えるペースでユーザーを増やし続けるLINE。舛田氏はこの理由について、「タイミング」「アプリ」の2つの観点で分析する。まず世界でスマートフォンのユーザーが拡大していること。そしてPCと均等のリソースで開発するのではなく、スマートフォンアプリに注力したことで、ユーザーに受け入れられたと分析する。
タイミングに乗ったアプリだったとはいえ、韓国発の「カカオトーク」をはじめとした競合サービスは存在する。LINEがその中でもユーザーに選ばれた理由は何なのだろうか? 舛田氏は「インスタントメッセンジャーの延長線上でなく、(モバイルキャリアの)メールの延長線上のサービスだったからだ」と語る。余計な機能を除き、すばやく、シンプルにメッセージする。そんなサービスのニーズが潜在的に世界中にあったが、これがLINEによって具現化したのだという。
とは言え、ただアプリを提供しただけで日本国外でもサービスが広がるわけではない。NHNでは、ソーシャルメディアでのLINEに対する反応を確認して、各国の言語ができるスタッフがコミュニケーションをとるということをやってきた。
タレントのベッキーさんを起用したテレビコマーシャルをはじめ、各種アドネットワーク、大学生向けイベントのスポンサード、ギフトカードを提供するキャンペーンなどさまざまなマーケティング施策も実施した。その予算は3000万〜4000万円ほど。だが、施策の中にはユーザーの反応がない施策も少なくなかったという。「今でも(キャンペーンでプレゼントする予定だった)Amazonのギフト券が余っています(笑)」(舛田氏)。
NHNでは、プラットフォーム化の一環としてiPhone向けのゲームアプリ「Birzzle for LINE」を7月4日に公開している。このアプリは、公開2日で200万ダウンロードという驚異的な記録を打ち出しているが、その理由はLINE本体との連携機能にある。
LINEでは、運営側が各種のお知らせを出した際、メニューにアラートを表示する機能がある。すでに1回のアラートである程度のユーザーがアクションを起こすことは把握できているとのことで、今回もこのアラートがダウンロードを加速させたのだという。
加えて、LINEのメッセージで利用できる「スタンプ」もダウンロードを後押しした。4月より有料アイテムの販売を開始したスタンプは、これまで3億5000万円の売り上げを誇る人気アイテムだ。NHNではゲームの提供にあわせてオリジナルのスタンプを用意し、ゲームをダウンロードしたユーザーにのみ無料で提供している。
プラットフォーム化により、ビジネス面でも新しいステージに進むLINE。サービスの「世界感」が変わることで、ユーザーが戸惑う可能性もあるが、これに対して舛田氏は、「1つのサービスやビジネスに依存しない」という考えを持っているという。
「高いARPUのゲームを作るという方法もあるとは思うが、1つのビジネスモデルで『行きすぎ』がないようにしたい。ゲームもスタンプもあって、企業などの公式アカウントがあるという状態」(舛田氏)
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