資金とファンを同時に集めて、アートや製品開発といったプロジェクトを立ち上げるソーシャルプラットフォーム「CAMPFIRE」を運営するハイパーインターネッツは6月25日、EastVentures、paperboy&co.、VOYAGE VENTURESの3社を割当先とした第三者割当増資の実施を発表した。金額は約5000万円で、払い込み期限は5月31日となっている。同社の第三者割当増資は2011年6月に実施された2600万円の増資に引き続き2回目となる。
CAMPFIREが正式公開後1年を経て新たなステップを踏み出す。2009年に公開された北米大手のクラウドファンディング・プラットフォーム「Kickstarter」にはこれまでに、約6万件、総額で2億6400万ドル分のプロジェクトが掲載されている。そのうち成立したプロジェクトは2億2100万ドル分で、同時に調達に失敗した金額が2700万ドルとなっている。(編集部注:差額)公開されている成約率は約44%だ。
ではCAMPFIREはどうだろうか。ハイパーインターネッツ代表取締役の石田光平氏に話を聞いたところ、公開から現在までの1年間で掲載したプロジェクトの件数が約160件、総額では5800万円になったという。その内成立したのは約80%にあたる132件。金額にして4700万円を集めることに成功している。
言語圏の差異によっても市場規模が違うため単純な比較は難しいが、やはり先行しているkickstarterとの差は大きい。サービス公開当初、年内1億円の流通を目標としていた石田氏だが、「魅力のあるプロジェクトが集まったが、それに対して支援する側のパトロンが想定ほど伸びなかった」と現状を分析する。
石田氏はまた、「日本のクラウドファンディングに関するコンテンツ市場は北米に比較しても見劣りしていない。パトロンの数が想定どおりに伸びていれば公開から現在までに掲載したプロジェクトで目標として掲げていた1億円は達成できた。今後はパトロンがより利用しやすい方向を目指していく」と続ける。
クラウドファンディングで話題となるのがガジェット類のプロジェクトだ。やはりCAMPFIREでもCerevoとの共同企画「Cerevo DASH」で少々きわどいガジェット関連のプロジェクトにチャレンジしている。その他にもタイアップ形式でフジテレビの深夜枠「ノイタミナ」やウェブマガジン「greenz」などと共同のプロジェクトも展開している。タイアップに関する今後の予定について尋ねたが、「計画も含めて公開できる状況ではない」(石田氏)ということだった。
今回の資金調達によって運営の安定化をはかり、引き続きプロジェクトの量産に努めるというCAMPFIRE。石田氏は「サービス公開当初からプロジェクト掲載担当のキュレーターに力を入れ、高い質を担保してきた。引き続き日本でのクラウドファンディングという文化を牽引したい」と説明。年内に改めてサイト内流通金額1億円を目指すとした。
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