現地時間6月13日、「Opera 12」が一般に公開された。ブラウジングの高速化に焦点を絞った変更が多く施されている。しかし、かつて機能開発で先頭を走っていたOperaも、今では代役という印象が否めない。
最も重要なのは、全体的に高速化に主眼が置かれていることだ。「Widgets」や「Unite」「Voice」といった奇抜な機能は廃止され、ブラウザが軽量化された。軽量化以外に、ユーザーがあまり関心を持っていなかったことも廃止の理由だろう。Opera Softwareは4月に同機能を廃止することを発表したが、Uniteのコードのオープンソース化を求める嘆願書は本稿執筆時点で、目標の1000件に遠く及ばない258件の署名しか集められていない。
競合ブラウザには既に搭載されているが、Opera 12にとっては未だに取り組みの途上にある機能の1つがハードウェアアクセラレーションだ。同機能は同ブラウザに搭載されているが、ユーザーは手動でそれを有効にする必要がある。これは、Opera 12アルファ版からの変更点だ。Operaのデスクトップ製品担当バイスプレジデントであるJan Standal氏は6月13日の電話インタビューの中で、これは、Operaが期待していた性能向上を実現できていないことが原因だと述べた。
「(ハードウェアアクセラレーションには)WebGLに関する部分、通常のアニメーションの部分、そしてユーザーインターフェースの部分がある。当社はこれら全てに同時に取り組んでいる。従って、一度にこれらを実現することは、極めて野心的なプロジェクトだ」と、Standal氏はノルウェーのオスロにある自宅から米CNETに語った。
「現在分かっていることは、ハードウェアアクセラレーションの結果が、(既に組み込まれた)ソフトウェアアクセラレーションに対応できるほど十分ではなかったということだ。ソフトウェアアクセラレーションは極めて高度に最適化されているため、ハードウェアアクセラレーションは(機能するためには)大きな効果を生むものでなければならない」という。
Standal氏は、Operaは同社のハードウェアアクセラレーション開発プロセスを今後「4~5カ月」以内に再評価する予定だと語った。結局のところ、Opera愛用者にとっては、まだまだ長い道のりになりそうだ。
現在も開発中の次世代HTMLコードであるHTML5の標準化が進む中で、OperaはHTML5サポートをOpera 12に組み込む作業を続けている。Opera 12では、ウェブサイトからウェブカメラなどのユーザーのローカルハードウェアにアクセスできる。しかし、比較的ゆったりとしたアップデートサイクルのために、Operaはこの分野で先頭に立つことができないでいる。GoogleとMozillaは、はるか先を走っている。Googleは「Google Chrome」をゲーミングプラットフォームとして推進しており、Mozillaは「Firefox」をエンジンとするモバイルOS(現在「Boot to Gecko(B2G)」と呼ばれている)の準備を進めている。
Opera 12には、同ブラウザをライバルに近づけるほかの変更も施されているが、それらは既に広範に実装されている。これには、「Flash」や「QuickTime」などのプラグインがクラッシュしたときにブラウザが一緒にクラッシュしてしまうのを防ぐプラグインの別プロセス化や、HTML5やJavaScript、CSSによって実現される、拡張とテーマに主眼を置いた軽量のアドオン構造、再設計によって読みやすくなったロケーションバーのセキュリティバッジが含まれる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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