独自の発想と技術力で存在感を放つ--JVCケンウッド「HA-FXD80」 - (page 3)

静けさと力強さをあわせ持つ歯切れの良いサウンド

  • 「FXC」シリーズの優れた装着感を受け継ぎ、着けやすく外れにくい

 いよいよ試聴へ進む。プレーヤーにはiPod nano(第6世代)を使用。イコライザはフラットにして、iTunesで楽曲購入する際のデフォルトであるビットレート、128kbpsで聴いてみる。まずはPOPSから、5月に来日して注目を集めたレディー・ガガの代表曲「Born This Way」。イントロからのMC、左右に散りばめられた音、音圧のあるベースなど、細やかな音のすべてを聴かせてくれる。アップテンポな中にある静→動へと盛り上がっていくダイナミックな表現力は見事だ。

 続いてHIPHOPを聴く。エミネムの初期代表曲「My Name Is」。左右の移動音やスクラッチが続けざまに入り、ボーカルがマイクからぶ厚く入るなど音数が多い。こうした各所で鳴る音を破たんすることなくバランス良くまとめ、しっかりと音場をキープ。音切れの良さも気持ちがいい。

 次にRockからは、レディオヘッドの名盤「OK COMPUTER」に収録された「Paranoid Android」を聴く。前半ではギターのストリングス、運指の動きまでを緻密に表現。かといって迫力が失われることはない。特に後半のパートではより力強く、情感あふれるサウンドでテンションを上げてくれる。

 Technoでもチェックしてみる。スクエアプッシャー、4年ぶりの新作アルバムからリード曲となる「4001」。正確さとスピード感が重要となるが、難なくこなし心地いいリスニング感覚。2分を過ぎたあたりから変調するビート音はかなりエネルギッシュ。うるさく鳴りすぎることなく体にしみこむ。

 最後に女性ボーカルを聴く。リファレンスの定番、ノラ・ジョーンズ「Don't Know Why」。息遣いやニュアンス、ピアノの優しいタッチなどを自然に再現。この曲は使用するヘッドホンによって歌っているステージが異なる印象を持つことが多々あるが、「HA-FXD80」では臨場感も相まってリアルな感覚を覚える。

 総じて言えるのは、完成度の高さ。ジャンルを問わず歯切れよく、静かなパートはニュアンス重視、激しい部分はエモーショナルだが無理はせず、正確に音を刻むイメージだ。ユニットを一体化させ、新素材を導入、ノイズ対策も施されるなど、既に定評ある構造をさらに昇華させることでメリハリのあるサウンドが楽しめる。非常にコストパフォーマンスに優れたモデルと言えるだろう。

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