大企業ゆえに「欠けているもの」をスタートアップに見いだす--KDDI ∞ Labo - (page 2)

 参加の段階で、各社には「出資の希望があれば言ってくれ」と伝えていました。ただし、それは先ほどのとおり必ず出資できるわけではないということでした。結果として、一期生は何かしらで各社資金調達ニーズがあり、運営を手伝ってもらっているIGPI(経営共創基盤)のアドバイスに沿って作戦を練っていました。1期の2社の場合も、すべて相談ベースで出資の話は始まっています。

 まず私が話を聞いて、次にKDDIの企業戦略部が投資に必要な調査をします。必ず出資する、という訳ではないので、実際に出資するしないとか金額とかは、やっていくなかで決めていましたね。ただ、難しいですよね。前例があればそれを参考にして評価額を決めますが、結果的に値段を高くしすぎて次のラウンドに影響することも避けたいですし。

--小額投資で1社1社を調査をするのは効率が悪そうに見えます。

 そういうこともあったので、今回のプログラムから300万円を上限にした出資も実施することになりました。ただ、これはまず数週間のプログラムを経てから、そこで受けられるかどうかを判断してもらうようにしています。これはKDDIとグローバルブレインで共同して作ったCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)「KDDI Open Innovation Fund」をベースに実施しています。実際に資金調達計画に関する打ち合わせも始まっています。

--この事業自体の事業モデルや方向性はどのような考えをお持ちでしょうか。

 広報的な意味で言えば、みなさんに来てもらえてるじゃないですか(笑)。それはさておき、やはり若い人材と向き合うメリットは大きいです。こういった刺激を受けた社内の若手が積極的になったり、成長や活性化がもたらされることは重要です。

 通信会社としても、端末での差別化が難しくなってきています。そうなるとサービス、ソフトウェアを通信会社が主導的にやっていけるのかという悩みが出てくる。そういう意味でも、支援しているサービスそのものが大きく成長してくれればいいという意図もあります。

--第2期生にはKDDI社員によるプロジェクトもあります。

 実は1期生にも社員によるプロジェクトがあったのですが、今回はKDDI研究所からも希望があり、2期生に入ってもらいました。KDDIではモノを作るとき、どうしても外注に頼ってしまっている。でもやはり自分達で作ることで見える事もあるだろうということで、直接の業務には関係がなかったのですが、本部長の許可が下りました。彼らの起業家に近い本気度が影響したのかもしれませんね。

--KDDIの支援に期待する起業家は多いと思います。

 確かに。中でもプロモーションに期待している人は多いです。分かり易いのは端末へのプリインストールの希望ですね。「ポータルのトップに出して欲しい」という声もあります。現在ではauスマートパスの中に「COOL Apps」というコーナーを設けて∞ラボ初のサービスを掲載したり、一定の期待には答えているつもりです。ただ、それは数多くいる他のサービス提供者も望まれることで、競合もあります。すべては結果次第ということです。

--今後の展開について教えてください。

 やはりダメになってしまう企業をできるだけ出したくない、というのが本音です。みんなには成功してもらいたい。どのくらいプログラムを続けるかについては毎回毎回、1期毎に考えてます。たくさん応募いただいている間は続けたいと考えています。

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