印刷比較のポータルサイト「raksul(ラクスル)」を運営するラクスルは4月17日、ニッセイキャピタルと個人を引受先とした1億1000万円の第三社割当増資を実施した。割当の金額はニッセイキャピタルが1億円、個人が1000万円となっている。
raksulは印刷発注者と印刷会社やデザイン会社などの印刷を請け負う会社のマッチングを行うポータルサイト。サービスは2種類あり、印刷物のスペックや形態などを選択することで、最適な印刷会社を探せるというおもに小ロットでの発注向けの価格比較サービスと、コンペ形式で見積りが取れるおもに大ロットでの発注向けの一括見積もりサービスを提供している。一括見積もりの成約実績額は1億円を達成しており、現在登録されている印刷会社は750社。代表取締役の松本恭攝氏によれば2009年9月の創業以来、約2年間かけてこのネットワークを構築したという。
調達の目的として松本氏は印刷工程におけるIT化とオンライン印刷の推進を掲げる。米「VistaPrint」や独「flyeralarm」など、海外ではITを使って生産効率を高めたオンライン印刷サービスが登場している。生産効率の改良を重ねた結果、1000枚のチラシを印刷するコストに日本と比較して3倍もの開きが生まれているのだという。ラクスルでも、「生産面でのIT化に関して日本の主要パートナーに効率化が可能なシステムを導入を推進する」(松本氏)としており、効率化に必要なサービスの提供を目指すという。
そしてもう1つの目的、それが松本氏が「クラウドプリント」と語るオンライン印刷の推進だ。欧米での状況をみると営業を持たないオンライン印刷はデザインや仕様、価格が決まっている。例えばパンフレットを発注する時も、サイズや紙の種類などもあらかじめ決まっているので、発注者はレイアウトを選択し、文字を埋めるといった作業を行うだけでいい。ラクスルはこの仕組みを日本でも取り入れていくことを狙う。松本氏は「デザインまで含めて標準化された印刷物を、全国でネットワーク化された最適な印刷会社に依頼するなどして、より安く効率的に提供することが可能になる」と語る。
ただしラクスルが自社で印刷機を持つ予定はなく、あくまでパートナーとなる印刷会社との協業で事業を進めるという「基本的にラクスルは(顧客と印刷会社を)つなぐ役割」(松本氏)
「印刷業会は100年もの間、イノベーションが起きていない業界。発注者サイドはどんどん便利になって意識が変わっていっている。職人の世界だったこの世界を変えたい」と話す松本氏。今後については2015年の上場を目指すという。
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