JVCケンウッド、合併後の経営戦略を発表--カーエレ、通信など強みをいかし融合商品を

 JVCケンウッドは10月1日、日本ビクター、ケンウッド、J&Kカーエレクトロニクスの3社を吸収合併する。それに先立ち9月26日に合併後の経営方針説明会を開催した。


JVCケンウッド代表取締役会長の河原春郎氏

 JVCケンウッド代表取締役会長の河原春郎氏は「2008年10月の発足以来、ホーム用民生事業を3分の1に絞り込んだほか、各種構造改革をしてきた。トップ事業であるカーエレクトロニクス、業務用システムなど、強い事業を主軸に据え、バランスのとれたポートフォリオ構造となった。第1四半期には全セグメントで黒字化し、今期は純利益での黒字化にメドがついた」と損益面の改善について話した。

  • 2014年3月期までの中期経営目標

 2014年3月期には売上高4300億円(2010年3月期は3527億円)、営業利益200億円(同130億円)、経常利益140億円(同76億円)、当期純利益110億円 (同40億円の損失)を目指す。

 同社が手掛ける主な事業は、従来通りカーエレクトロニクス、業務用システム、ホーム&モバイルエレクトロニクス、エンタテインメントの4事業。いずれもJVC、ケンウッドの両ブランドを展開していく予定で、新ジャンル商品については新たなブランドを創設する考えだ。今回戦略投資として約70億円を投入する。


JVCケンウッド代表取締役社長兼CEOの不破久温氏

 4事業の中でもっとも売上の大きいカーエレクトロニクス事業は、国内市販ナビの販売台数を現在の約5倍となる20万台まで増加させるほか、新興国市場の売上高を現在の4割増となる300億円以上に拡大させる方針だ。新興国市場に関しては「欧米市場に投入していた商品をそのまま販売してお客様がつくものばかりではない。新興市場の変化を捉え、専用モデルを投入する」(代表取締役社長兼CEOの不破久温氏)と本格参入を狙う。

 また「今までは商品そのものを提供していたが、通信との連携で情報サービスも展開していきたい。ヘッドアップディスプレイなどの表示デバイスや安全検知システム、スマートフォン対応などの商品を提供していく」(カーエレクトロニクス事業グループCOOの江口祥一郎氏)と新事業のビジョンを示した。

 新市場開拓という意味でも期待のかかる業務用システム事業は、独自開発したデジタル業務用無線機「NEXEDGE」のネットワークシステムを使用したグローバル展開で市場を創造する。アナログからデジタルへの更新需要、新規需要を獲得し、2014年3月期に売上高1280億円、営業利益78億円を狙う。

 「商品カテゴリの思いきった見直しと、強みをもった製品に取り組む」(不破氏)とするホーム&モバイルエレクトロニクス事業は、ハイブリッドカメラ、3Dビデオカメラ、4K2Kビデオカメラという3つの撮像デバイスに注力する。中でも注目の3Dビデオカメラは小型、低価格化とともに操作のしやすさを実現する。

 不破氏は「ビデオカメラについてもワイヤレス通信にすることで、これまでとは違う使い勝手を提案したい。ビデオカメラとモニタに一定の距離があっても映像が楽に伝達できる、映像、画像としてご覧いただけるという技術を追求していきたい。2011年度中にこれのバージョン1を商品化したいと考えている」と話し、ワイヤレス通信対応ビデオカメラの商品化を明らかにした。

 一方、AVアクセサリについてはシルバー層向けアクセサリの拡充などを考え、新商材、新流通を開拓するとのこと。これらの取り組みにより、2014年3月期は売上高1050億円、営業利益30億円を目指すとしている。

 エンタテインメント事業では、コアである音楽事業を拡充するとともに、BtoBビジネスの拡充、アーティスト関連ビジネスの拡大など総合エンタテインメント化を推進するという。2014年3月期は売上高410億円で、営業利益は12億円と利益率は3%になるが、「この3年で足がかりをつけて長期目標としては営業利益率を5%に引き上げたい」(ソフトエンタテインメント事業グループCOOの斉藤正明氏)と目標を掲げた。

 JVCケンウッドでは、音響、映像、無線といった現在ある事業領域を融合させた複合商品を開発し、提供していく方針を示している。

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