最近の職場では、5世代にわたる年齢層の人々が同じ仕事に取り組むということも珍しくない。これは今までになかったことだ。そこで本記事では、世代間のギャップによって引き起こされる職場での対立を解決する際の指針を紹介している。
歴史を紐解いてみても、5世代にわたる人々が同じ職場で一緒に働くということはなかったはずだ。ここで言う5世代とは、戦前・戦中派世代(1945年以前に生まれた人々)、ベビーブーマー世代(1946〜1964年に生まれた人々)、X世代(1965〜1980年に生まれた人々)、Y世代(1981〜1995年に生まれた人々)、そしてあらゆるものがリンクしていて当たり前という時代に生まれ育っていることから筆者が命名したリンクスター世代(1996年以降に生まれた人々)である。さまざまな世代の人々がともに働くことにより対立が生まれる場合もしばしばある。しかし、各世代の特徴を理解しておくことで、こういった対立の解決に役立てることができるはずだ。
どの世代の人間も、自らが生きてきた時代に遭遇した歴史上の事件や社会的な流行、文化的な現象からの影響を受けてきている。そしてこういった影響は、職場環境が提供するものに対する認識や期待、そして従業員としてとるべき行動に始まり、会社への忠誠心、仕事に対するモラルに至るまでの、ありとあらゆることに対する考え方を形作っているのである。
以下は、世代間の対立を解決する際の指針である。
今起こっている対立は、世代の違いに起因するものなのだろうか、それとも他に原因があるのだろうか?例を挙げると、戦前・戦中派世代やベビーブーマー世代はマイクロマネジメントされることを嫌うのに対して、Y世代やリンクスター世代は具体的かつ詳細な指示を与えてもらいたいと考えているだけでなく、上に立つ者から監視されることにも慣れている。実際のところ、ほとんどの対立において、世代の違いが何らかの原因となっているのである。このため、世代の違いに目を向けることで、解決への糸口が見えてくるはずだ。
それぞれの世代には独自の価値観があり、対立によってこういった価値観が脅かされることもある。世代による価値観の違いとしては例えば、ベビーブーマー世代がチームワークや協力、仕事に率先して取り組む姿勢を重んじる一方で、X世代は独断により(できれば自分だけで)仕事を進めていくことを好むというものを挙げることができる。
職場における対立で複数の世代の従業員が関わっているという場合、従業員間で自らのものの見方を率直に述べ合うことにより、互いに多くのことを学べるはずだ。例えば、戦前・戦中派世代がY世代の砕けた口調や失礼な態度を不快に感じている一方、Y世代は自らの意見や提案が上の世代の従業員からないがしろにされた際に見くびられたと感じているかもしれない。なお、こういったことを語り合う際には、不毛な対立を避けるために、お互いに「私自身は」という言葉で語り始めるというルールを決めておくのがよいだろう。
他人が経験してきた人生を変えることはできない。とは言うものの、職場での態度や期待といった、経験から導き出されるものに働きかけることは可能である。例を挙げると、豊富な知識を持つベビーブーマー世代の従業員が、経験不足であるにもかかわらず権利意識の強いY世代の従業員に苛立ちを感じているという場合、ベビーブーマー世代の従業員をメンターに仕立て上げるとよいだろう。また、ずる休みの電話を入れてくるX世代の従業員に悩まされているのであれば、そういった従業員を処罰するのではなく、挑戦意欲をかき立てるような仕事を与えるとともに、その仕事をやり遂げた際に手にできる報酬を明確化しておくのがよいだろう。
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