東京ミッドタウンの「飽きない仕事」

竹本宣彦(東京ミッドタウンマネジメント)2011年09月06日 13時01分

 東京ミッドタウンをご存じでしょうか。オフィス、商業・文化施設、ホテルなどで構成される複合施設です。ちなみに「六本木」にあると思われていますが、住所は「赤坂」です。

 私は、その東京ミッドタウンのタウンマネジメント業務を中心とする企業で、イベント企画の仕事をしています。

 「どんなイベントをやっているのですか?」と聞かれますが、本当にいろんなイベントを実施しています。

 9月は敷地内にある芝生エリアで、ハイボールが楽しめる「白州ミッドパーク カフェ」やヨガを開催します。

 しかし、一番有名なのは「クリスマス・イルミネーション」でしょうか。

 そして、仕事の話をすると「楽しそうですね」と言われます。その場合は「楽しいですよ」と答えます。

 仕事関係の話や写真をFacebookに公開すると、「いいね!」やコメントを結構もらえます。

 それは、単純に仕事が面白いというだけではなく、楽しみながら仕事をする環境や精神を保つようにしてきた結果だと思っています。

 そして「企画」という仕事を楽しむために重要なのは「飽きない」ことだと考えています。

 「仕事に飽きない」は、20代後半に演劇制作をしていた時に出会った、演出家の蜷川幸雄さんに影響を受けて、私の中で育ちました。

 蜷川さんは日本を代表する舞台演出家で、出会った時は60代前半でした。すでに「世界のニナガワ」と呼ばれていましたが、それに安住せず、常に前進しようとされている方でした(今でもそうだと思います)。

 数々の名舞台がありながら、毎月のように新作舞台の幕を開けていました。ギリシア悲劇、シェイクスピアから日本の戯曲、歌舞伎まで幅広く手がけ、舞台俳優のみならず、新人やアイドルを主役に抜擢するなど、新しい舞台の創造に挑戦していました(2008年には映画「蛇にピアス」の監督も!)。

 「これでいい」と満足する、妥協すると成長が止まってしまう、それを何よりも嫌っていたように思います。

 ちなみに、70代前半になった今でも、蜷川さん演出作品は毎月のように上演されています。

 その姿を見て、私も「好き」「楽しい」だけで仕事を続けてはいけない、街に出て、観て、体験して、刺激を受けワクワクして精神を安住させないことが大切なのだ、と強く心に思いました。

 特に今の仕事に就いてからは、アート・デザイン関連の展示会、コンサート、演劇、映画、ビジネスセミナーなど、可能な限り様々なイベントやエンタテインメントを観たり、新しい人と出会うようにしています。

 新しい企画は、さまざまな要素の組み合わせからしか生まれないのです。企画の種を常に探してインプットすることで、「こういうイベントがやりたい」というアイデアや欲が出現してくるのです。

 そして、それは「経年優化」を目指す東京ミッドタウンという「街」にも通じるものと考えています。

 当然ながら、完成した施設(ハード)は簡単に新しくすることはできません。だからこそ、店舗やサービス(ソフト)を常に活性化させる、過去を大事にしつつ、過去にとらわれず、新しい価値を街に付加していく、という考え方です。

 年を経るごとに価値を上げていく、人々の生活に根ざしながら刺激を与えていく、なんだか終わりのないミッションですが、気長に挑戦し続けていきたいと思っています。

◇ライタープロフィール
竹本 宣彦(たけもと のりひこ)
東京ミッドタウンマネジメント株式会社 タウンマネジメント部マネージャー。 Bunkamuraで舞台プロデューサーなどを経験した後、2001年にジャストシステム 入社。法人向け販促、プロモーションを担当する。2007年より現職。 「街の価値を創造する」様々なイベントを企画している。

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