ヤフーとジェーシービーは8月29日、EC分野におけるサービス向上や加盟店の集客支援などを目的として業務提携すると発表した。グルメ情報などを保有する「Yahoo!ロコ」をベースに、両社の顧客を共有することでサービス利用者の拡大を狙う。
提携の骨子は、(1)IDやポイント連携、(2)クレジットカード「新Yahoo!カード」の発行、(3)JCB加盟店の「Yahoo!ロコ登録推進」、(4)スマートフォン決済ネットワークなどの将来構想の4つ。
まず、10月をめどに「JCB×Yahoo!ポイントクラブ(仮称)」を新設する。JCBカード会員を対象にしたもので、ウェブサービス「MyJCB」の利用者がJCB×Yahoo!ポイントクラブに登録すると「Yahoo!ウォレット」を利用できるほか、JCBの「Oki Dokiポイント」を「Yahoo!ポイント」に自動的に移行できるようにする。
JCBユーザーは、Yahoo!ポイントに移行することでポイントをYahoo! JAPANのコンテンツの支払いや対応ストアで利用できるほか、今後はYahoo!ポイントを使ってリアルの飲食店なども利用できるようにする方針。また、JCBカードの利用金額は、優良顧客向けプログラム「スタークラブ」のランク設定の際に加算され、ランクアップしやすくすることでJCB会員をYahoo!JAPANのロイヤルカスタマーとして確保したい考えだ。
なお、Yahoo!JAPANは2005年より「Yahoo!カード」を発行してきたが、2012年5月をめどにJCBブランドで新「Yahoo!カード」を提供する。スマートフォンからYahoo!ショッピングを利用すると通常の2%に加えてさらに1%ポイントを加算するなどの特典を用意するとしている。年会費などは未定。
JCB側は、同社が持つ加盟店718万件に対し、提携している全国の金融機関を通じてYahoo!ロコへの登録を推進していく。Yahooロコの登録店舗になると、店側は「クーポン」や「スタンプ」などの販促ツールを活用できるようになる。
今後はJCB加盟店に対して、スマートフォンで決済できる環境を整備し、Yahoo!ポイントとJCBカードでの併用決済などにも対応していく方針だ。「よくレジに複数の端末があるのを見かけると思うが、これまで新しい電子マネーが出る度に、新しい端末に買い換える必要があった。スマートフォンで決済できるのは加盟店にとっても画期的なこと」(ジェーシービー代表取締役兼執行役員副社長の松本直樹氏)と話す。
EC市場は年々伸び続けており、2011年は約8兆円を見込む。一方で、他のマーケットと比較すると、外食産業は約24兆円(2010年)、小売業は約135兆円(2010年)と大きく水をあけられており、「伸びているとはいっていてもまだまだ小さい。これらをいかにEC市場へ取り込むかが課題」(ヤフー 取締役最高執行責任者の喜多埜裕明氏)と意気込む。
EC市場において、JCBはブランド会員は6826万の会員がおり、Yahoo!JAPAN側はオークションとショッピングを合わせ、約6000万UU/月の利用者がいるという。また、JCBの加盟店契約数は718万あり、Yahoo!JAPANのユニークカスタマー数は5202万人いるとしており、JCBの加盟店ネットワーク力とYahoo!JAPANのメディア力を生かす。
サイトの閲覧履歴とカード購買履歴を活用し、ユーザーに合わせたおすすめ情報をスマートフォンへ提供していく考えで、幅広い分野で協業していくとしている。
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