セールスフォースの投資戦略、狙いは「リーダー」--国内で積極発掘

 サンブリッジとベンチャーナウ、ネットエイジは、スタートアップ企業やその支援者らを対象にしたイベント「Innovation Weekend」を月1回開催中だ。7月に開催された第3回イベントでは、セールスフォース・ドットコム(セールスフォース) コーポレートディベロップメント シニアディレクターの倉林陽氏とネットイヤーグループ 代表取締役社長兼CEOの石黒不二代氏が登壇。5月24日に発表した資本提携を話題にパネルディスカッションをおこなった。その中で、倉林氏が日本での投資戦略について興味深いことを語っていたので、そちらをお伝えしたい。

 最近、セールスフォースは日本で特徴的な2つの提携を発表している。1つが前述のネットイヤーグループとの提携。そしてもう1つがウフルとの提携だ。前者はすでに実績のあるデジタルマーケティングのプレーヤーであるが、後者は立ち上がってから数年のスタートアップ企業。両者への投資には明確な意図の違いがあった。

 まず倉林氏は、ネットイヤーグループについて「各分野のマーケットリーダーに資本参加する」という方針に基づいたものだったと説明する。日本で実績を持つネットイヤーグループとの提携は、セールス面でのシナジーが見込める。一方でネットイヤーグループも、いわゆる「受託ビジネス」からの脱却を計っていたタイミングであったため、スムーズに提携へとつながったという。

 ではウフルはどういう経緯で出資に至ったのか。これについて倉林氏は「SIパートナーとしての投資。ソリューションを広げるパートナーとして提携した」と説明。創業まもないスタートアップ企業への投資という視点ではなく、日本でのローカルSIerとしての投資であると説明した。

 倉林氏は自社の投資戦略について「セールスフォース・ドッドコムの強化とCRMの強化。ここの軸をぶれないようにしている」と語る。しかし、未公開企業へ投資するということは、当然キャピタルゲインなどの出口戦略が求められる。この点についてはどう考えるのだろうか?

 倉林氏は、米国での状況について「現在4000万ドルを投資に向けている。米国の一流ベンチャーキャピタルとの共同出資が基本で、事業戦略的なリターンがあることは当然。株式公開なり買収なりでエグジットし、ビジネスとしてまわすことが目的」と状況を説明する。その上で「事業会社なので『年間何件に投資する』という目標はないが、現在積極的に発掘をしている」と、“攻めの投資”を強調した。

 また、アジア圏での戦略については「まちがいなく中国への投資も出てくる」としながらも、「中国ではクラウドコンピューティングの市場がまだ立ち上がっていない。現地の会社と話すると、お客さんの数や取れる金額が全然低い。今は積極的には見ていない」とも話した。

本をソーシャルで読む「Lindoc」など6社が新サービス

 このほかInnovation Weekendでは、スタートアップ企業6社のサービスが紹介された。企業とサービスの概要は次ページの通り。

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