アップルは7月21日、Mac向けOSの最新版「Mac OS X Lion」のリリースと、新製品の発表を受けて説明会を開催した。OS X Lionは約2年ぶりとなるメジャーアップデートとなる。
現在のところSnow Leopard以降のOSを搭載したMacからアクセスできる「Mac App Store」からのみダウンロード購入(2600円)できる。ファイルサイズは3.49Gバイト。OS X Lionのパッケージ販売はされていないが、8月下旬をめどにUSBメモリに入れたバージョンを販売開始する見通し。アップルのオンラインストアのみで販売され、価格は6100円。
なお、OS X Lionの発表日となったWWDCが開催された6月6日から7月20日までに購入した人には無料アップデートが適用される。今回からオンライン申請となり、無料購入できる番号が提供されるしくみ。
アップルは米国時間7月21日、発売初日に100万本を突破したと発表。「いい売れ行きで、評価も高い」と笑みを浮かべる。
OS X Lionは、iOSで搭載した機能の多くをLionにも組み込んでいる。アップルによれば、iPhoneやiPadなど、iOS搭載デバイスが広がったことで、Macなどのアップル製品を買う人が「尋常じゃなく増えている」という。それを受けて「ユーザーとMacのインタラクションを、上のレベルに引き上げたいと思っていた。Macを使いこなせているとは言えないが使っていたという人も、iPhoneと同じぐらいのレベルへ近づけたい」と語った。
「今までもMac OSは進化してきたが、かなりのジャンプ」として、250を超える機能の中から下記の10の機能を紹介した。多くはアップルのウェブサイトでも紹介されている。
「最初こそ、おっかなびっくりだが、あっという間に使い慣れてしまう。Lionがこういうものなら私にも使えるかも。ものすごく楽しい、そんな感想を持ってもらえるように開発した」と自信を見せるのが、マルチタッチジェスチャーだ。アップルが販売するMacの4分の3はノートブック型で、トラックパッドを搭載している。また、デスクトップ型でもMagic Trackpadにより、快適に操作できる。
例えば、今回のブラウザ「Safari」を開くとすぐに気づくことがある。スクロールバーがないのだ。代わりに2本指で上下に動かすとスクロールでき、スクロールするとスクロールバーが登場する。これについて、「スクロールバーを常時目にしておかなければならない理由はない。普段は見せず、その分を表示に使うという設定」と説明する。
もし、前のページに戻りたくなったときは2本指で右から左へグッと動かすと戻る。この動作時のアクションがページをめくるような感覚で、ブラウジングがより楽しくなる。もし拡大してみたいなら、2本指をすぼめた状態か広げる(ピンチ)と拡大するほか、このほかにも多くのジェスチャーがある。ジェスチャーの種類はウェブサイトから確認できる。
「決して広いとは言えないノートの画面を、全部1ピクセルも余すところなく使ったら作業に没頭できるのではないか」。そういった背景から、iOSの概念をOS X Lionに戻したのがこのフルスクリーン機能だ。アップルは「それほど難しいことではない」としているが、アプリケーション側もこの機能に対応する必要があり、現在はiPhotoやPagesなどまだアップルのアプリケーションが中心となっている。今後は徐々に広がってくると予想される。
なお、このフルスクリーンモードで起動している他のアプリケーションを使いたいときは、指3本でスワイプすると切り替えられる。なお、アップルによれば「使用中のソフトウェアそのものを操作するときは指2本。ソフトウェアをまたがるときは指3本で操作する。大まかだがこれを覚えておくと後々に役立つ」とアドバイスしてくれた。フルスクリーンアプリケーションの詳細はウェブサイトから確認できる。
ウインドウを多く開きすぎて重なっている──これは、ヘビーに使っている人にありがちなデスクトップだ。「この状況をいかに打破するかに8年前から取り組んできた。これまでExpose、Dashboardも、Spacesなどの機能を提供したが、これが現時点での最高のソリューション」と説明する。
3本指でトラックパッドを上にスワイプするか、DockにあるMission Controlアイコンをクリックすると、デスクトップがズームアウトしてMission Controlが現れる。今、なにが起動しているかが一目瞭然だ。Mission Controlの詳細はウェブサイトから確認できる。
iPhoneやiPadでは、アプリの一覧やフォルダから選んでアプリを起動できるが、同様のことをOS X Lionでも実現したのがこのローンチパッドだ。4本の指をタッチパッド上に広げ、一気にすぼめると、アプリの一覧が表示される。iOSと同様に、アイコンを長押しするとアイコンが揺れ動き、「×」をクリックすれば削除できる。また、アイコンを重ね合わせてまとめることも可能だ。
すでにOS X Lionをインストールする予定のあるユーザーなら使っていることだろう。何気なく使いがちだが、ここにもiOSの機能がインテグレートされている。iPhoneやiPadはアプリを購入するとアプリのインストールまで自動的に完了するが、Mac App Storeでも同様にインストールまで完了してくれる。また、一度アプリを削除してもすぐに再インストールができるほか、同一IDのユーザーならば複数所有するほかのMacにもインストール可能だ。
作業の途中に限ってソフトウェアアップデートの通知がくる、というのはよくあることだ。余裕があるときは起動しているものを終了してインストールするが、とりあえず「後で通知」としてしまうことも多いのではないだろうか。
今回の「再開」機能により、仮に再起動が必要なアップデートだとしても再起動後に環境を元通りにする手間なく自動で再開し、直前の状態で起動するという。また、アプリケーションを閉じても、次に再開する時に前回と同じ場所が開くようになる。
また、作業時には「commandキー+S」が手放せない。そんな人も少なくないだろう。「セーブはユーザーの責任という風潮があるが、自動保存によりユーザーは特に意識しなくてもよくなる」(アップル)。それが自動保存するオートセーブ機能だ。また、バージョン機能により、セーブされたファイルがそれぞれキープされ、いつでも好きなバージョンに戻すことができる。もしこれ以上オートセーブしたくないときはロックをかけることも可能だ。
「再開、オートセーブ、バージョンの各機能はユーザーの責任を解放し、もっとクリエイティブなところへ作業を集中できるようにするためのもの」としている。なお、これらの機能に対応したアプリケーションが必要になる。
これまで、ファイルを送りたいときに一番早くて確実だったのはUSBメモリにコピーして渡すことだったかもしれない。もしOS X Lionユーザー同士ならば、それよりも簡単にファイルを交換できるようになる。「Finder」から「AirDrop」をクリックするだけで、約9mの範囲で自動的にユーザー検出。ファイルを共有する時は、送りたい相手の名前の上にファイルをドラッグするだけだ。受け取りが承認されると、ファイルは完全に暗号化されて相手のダウンロードフォルダに直接転送されるしくみ。
Mailはワイドスクリーン表示に対応し、より見やすくなった。検索機能が強化されたほか、同じスレッドのメッセージを時系列ですっきりと並べる「スレッド」機能により、引用を認識して時系列にして表示される。
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