朝日こどもIT教室が5月28日に開催された。これは、小学生から中学生を対象に、親子でインターネットの仕組みやプログラミングを学び、実際にiPhoneやiPadで動くアプリケーションを作って公開するという体験講座だ。
授業は、以下の通り順番に進んでアプリケーションを作っていった。ウェブサーバとブラウザの関係を学び、ウェブやHTMLの仕組みを理解する「インターネットで写真を公開しよう」、コンピュータが数字の羅列やアルファベットの言語で動いていることを学びプログラミングを体験する「おみくじプログラムをつくろう」、複数の写真をアルバムとしてiPhoneに次々と表示するプログラムを作成する「ウェブフォトアルバムをつくろう」、できあがったウェブフォトアルバムの色や背景画像、文章などを変更する「オリジナルのデザインにしよう」の4つ。
作成したウェブフォトアルバムは、さくらインターネット レンタルサーバ スタンダードプランのサーバに親子で設定、アップロードして、PCのブラウザやiPhone、iPadなどから閲覧した。
講師を務めたアシアルの代表取締役社長である田中正裕氏は、「プログラミングコードを書くこと自体に楽しさはないので、お子さんはコンピュータをタイプするのはつまらないと思い、どうやればうまく伝えられるかと心配していましたが、その心配はまったく必要ありませんでした」と、笑顔で語った。
アシアルはウェブシステムの開発やコンサルティングのほかに、PHPスクールの運営などを手がけてきたが、子ども向けの講座は初めて。確かに「おみくじのプログラムをつくろう」の授業あたりから子ども達が本格的にコードを打ち込み始まったが、「お子さんの方が積極的にすごいキーボードを叩いていたので、子どもってほんとうに柔軟だし、やりたいことをちゃんと見ているんだなと感心しました」と田中氏。
では、実際に授業を受けた親子の参加者らは、どんな感想を持ったのか。MacBook AirとiPad、iPhoneを持ってきた大内郁未ちゃん(10歳)は「楽しかった」と言って、自分で色を青とピンクにカスタマイズしたフォトアルバムをiPadで見せてくれた。お母さんは、「自分で作ったものがインターネットを介してすぐにウェブに反映されるのは、すごく楽しいと思います」とし、「子どもをダシにして親も学べるというのはおいしいかなとも思いました(笑)」と、笑顔を見せた。
実は講座に来るのを嫌がっていたという小松沙波ちゃん(9歳)は、「ちょっと難しかったけど楽しかった」とiPhoneを見せてくれた。「体験するという意味では、うちの子も楽しんでいたようなのでよかった」と、ほっとした感のお父さん。さらに、「これからはプログラムのスキルを持っていた方が将来いいという話をよく聞いていたので、子供用のプログラミング学習ソフトScratch(スクラッチ)というのがあって、ここ数カ月これで遊ばせてます」と、実際にこのソフトを沙波ちゃんが見せてくれた。沙波ちゃんは携帯電話を持たせてもらってないそうだが、携帯電話を持っている友達とメールをやり取りするためにGmailのアカウントを取得し、それでキーボードの打ち方などを憶えたという。
また、宮本理仁くん(9歳)は「写真を選んだり、色を変えたりするのがおもしろかった」と満面の笑みを浮かべた。お母さんは、「コンピュータに興味を持ってもらいたいというのと、親がコンピュータ関係の仕事をしているのでどんな仕事なのかというのを少しでもわかってくれたらいいな」という期待を持って受講した。PCは塾でも使っていて、ゲームや自分で知りたいことを調べるなど毎日PCを使っているという理仁くんの将来の夢は「その時々で変わるけど、いまはサッカー選手か野球選手になりたい!」と元気に答えてくれた。
この一方で、「将来の夢がプログラマーになることだから、こういうおもしろい講座は今後活かせるので、いい経験になりました」と言う賢雄くん(11歳)。普段はインターネットで検索したり、YouTubeを見たりして、テレビを見ているよりインターネットを使っている方が長いそうだ。お父さんは、「プログラムの世界に興味があるらしいのですが、コードを書くなど、実現する手段の部分に触れるのは今回が初めて。こういう講座に出てみて、その後どのように感じていくのか子どもの反応を見ていきたい」と語った。
最後に講師の田中氏は、「子ども達がいろんな発想で独自にカスタマイズ、改良を加えていたので、僕が思っている以上に興味を持ち、学んでいただけたんだと実感しています。自由な発想力を持ってプログラミングしたり、ホームページを公開したりする敷居は、昔に比べて本当に低くなっていますね」と、締めくくった。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」