検索や広告配信ソリューションを提供するノルウェーのcXenseが日本法人を設立し、5月から営業を開始した。同社CEOのJohn M. Lervik氏は2008年にMicrosoftに買収されたFast Search & Transferの創業者でもある。
cXenseは2010年設立。オンラインメディアやECサイトに検索、広告配信、リアルタイム分析などのソリューションをクラウドで提供している。
サイト内検索製品「cX::search」は、アドバンスクエリ言語、検索結果ページのカスタマイズ、ナビゲーションとリコメンデーションなどの機能を備える。広告配信製品「cX::ad」は複数製品を配信できる広告プラットフォーム。テキスト、画像、動画などの異なるフォーマットの広告を、インプレッション保証型、クリック保証型、成果報酬型などの広告モデルで運用できる。
サイト分析製品「cX::analytics」は、ユーザーの行動をリアルタイムでレポートする。またそのデータを検索や広告と連携させることができる。これらのソリューションはすべてContext Computing Engine(CCE)という独自開発の基盤システムの上で提供される。CCEは3つのソリューションを連携させ、それぞれのパフォーマンスを向上させる役割を持つ。今後はCCEのAPIを公開し、外部企業がCCEに対応したソリューションを追加できるようにする予定だ。
CCEとその上で動作するソリューションによって、ネットメディアのコンテンツや検索、広告に“あらゆる関連性”を提供することが、cXenseのミッションである。「広告主は関連性にお金を払いたがっている」とLervik氏は述べる。
たとえばニュースサイトの場合、訪問者の多いトップページの広告と、スポーツや旅行などに細分化されたカテゴリページがある。トップページは訪問者は多いがターゲットが絞れていない、カテゴリページはターゲットははっきりしているが、ボリュームが少ない。広告主にとってはどちらも効率が悪く見えてしまう。
CCEはカテゴリページの閲覧履歴を、トップページのボリュームに適用するため、より効果的な広告配信ができるという。「我々はユーザーの行動を解析するため、カテゴリページに行って、トップページに戻ってきたユーザーのことを理解できる。そうするとトラフィックが多いページで関連性のある広告を出せる。クリック率も上がる」(Lervik氏)。
GoogleやMicrosoftのような広告テクノロジ企業との違いについては、「GoogleやMicrosoftはアドネットワークそのものを持っているが、我々は自らアドネットワークを構築しようと思っている会社、たとえば新聞社やECサイトなどを支援する。そこにビジネス上の違いが出てくる」とLervik氏は語る。
また、「アドネットワークはユーザーのデータをすべてコントロールするが、これは危険。データはサイト運営者にとってオイル(ビジネスの原動力)のようなもの。これは自分で持っているべきである」と主張する。シーセンスの場合はダッシュボードからユーザーが必要に応じてさまざまなデータをダウンロードできるようになっているという。
cXenseのソリューションを導入している企業の数はグローバルで42社で、大きく2つのタイプに分かれるという。1つの企業が自らのサイトで検索、広告などを用いて収益化する場合。もう1つは広告ネットワークを構築する場合。検索と広告による収益化は1000万PVくらいの中小メディアから利用できる。アドネットワーク構築は大企業向けだ。
日本市場では年内に10社以上の導入と1億円の売り上げを目標としている。3年後には導入企業がオンラインでいつでもソリューションを開始できるようなセルフレジストレーションの仕組みを提供し、100社の導入を目指すとしている。
価格は広告、検索、分析の3つのソリューションを使った場合が約100万円。個別のソリューションを利用することもできる。価格は企業ごとの個別見積もりとなる。営業体制はまずは直販のみだが、いずれはパートナーとの連携も考えているという。
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