Citrix Systems(Citrix)は米国時間5月25日、自社イベント「Citrix Synergy 2011(Synergy)」を開催した。このイベントは、同社が毎年1回米国で開催しているもので(2010年からは、米国開催の約半年後に欧州でも開催)、毎年同社のビジョンやそれに基づく製品が発表されている。今回もCitrixのユーザーやパートナーなど、4000人以上が参加しているという。
基調講演に登壇したCitrix President兼CEOのMark Templeton氏はまず、2010年4月に出資したKavizaを米国時間5月23日に買収したことを紹介した。Kavizaは、共有ストレージやロードバランサ、コネクションブローカを必要としない、SMB向けのオールインワンVDIソリューションを提供する米国のベンチャー企業。日本でも、日商エレクトロニクスが販売を行っている。「Citrixブランドで今年後半にも製品を提供する」(Templeton氏)
Templeton氏は、IT業界の現状について、(1)ITの成長は10年間1桁になっている。(2)IT業界が成熟しているが、イノベーションのジレンマにおちいり、変化が難しくなっている。(3)ユーザーや顧客がさまざまなもののコントロールを自分たちのもとに持ってきている「コンシュマライぜーション」——が起きていると説明する。その中から(3)にふれ、「ユーザーはすばらしいエクスペリエンスを自分自身で作ることができる。今後10年で大きなトレンドになるだろう」(Templeton氏)
Citrixではこれまで、このコンシュマライゼーションの流れに沿ってデスクトップ仮想化を中心とした製品を提供してきた。そして、PCを職場や自宅など、様々な環境で利用できる「BYOC(Bring Your Own Compurter)」というコンセプトを打ち出してきた。しかし最近ではスマートフォンやタブレット端末など、ユーザーは3つ以上の端末を持ち歩き、利用していることから、コンセプトを「BYO-3(Bring Your Three-Compurter)」と改め、場所や端末にとらわれないワークスタイルの提供に積極的な姿勢を見せた。
また、Personal Cloud、Private Cloud、Public Cloudという言葉を引き合いに出し、「PCの時代が終わったと言われるが、これからは“3つのPC(3つの言葉の略称)”、クラウドの時代だ」と説明。それぞれの分野における同社の取り組みを紹介した。
まずPersonal Cloud分野の製品として、「GoToMeeting with HD Faces」の提供が発表された。GoToMeetingは同社の提供するSaaS型オンライン会議サービス。2010年10月開催の「Citrix Synergy 2010 Berlin」でHD対応が発表されていたが、同日よりパブリックベータ版の提供を開始した。既存のGoToMeetingユーザーであれば、無償利用が可能だ。
10万件のダウンロード実績を誇るというデスクトップ仮想化製品「XenClient」については、最新版となる「XenClient 2」を発表。これまでインテルのプラットフォーム技術である「vPro」テクノロジに対応するPCでしか利用できなかったが、最新版ではvPro非搭載のPCやワークステーションに対応し、利用の幅を大きく広げた。XenClient 2も、同日よりExpress Editionのテクニカルプレビューを利用できる。
XenClient関連では、官公庁や金融機関など、高度なセキュリティが求められる環境に特化したバージョンとなる「XenClient XT」も発表された。こちらは6月にも出荷が始まるという。
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