ByFlowは4月20日、持っている物、出会った本、音楽、映画などを登録すると、おすすめの物や趣味の似た人を紹介してくれるサービス「byflow」ベータ版を公開した。
byflowに登録できるアイテムはAmazon.co.jp、Amazon.com、楽天市場、Yahoo!ショッピングで取り扱いのある商品。ほかのユーザーのアイテムやbyflow内の商品検索からワンクリックで登録できる。
Google Chromeの拡張機能を用いると、Amazon.co.jp、Amazon.com、楽天市場の購入履歴を一括して読み込める。登録されたアイテムは自動的にカテゴリ別に分類される。購入履歴からの登録の場合は年別、購入店別に分類、閲覧可能だ。
映画のDVDには同じタイトルでも通常版や廉価版などいくつかのバージョンがある。映画館で劇場版を観た人もいる。書籍であればハードカバーと文庫本がある。byflowではこれらをグループ化し、すべて同じアイテムとして認識できるように工夫している。漫画の全巻やドラマなどは簡単に登録できるようにシリーズ一括登録が可能になっている。
これらの登録されたアイテムにもとづき、byflowが「おすすめのアイテム」や「おすすめの人」を紹介してくれる。登録したアイテムに「好き」「嫌い」の評価を加えることで、より精度の高いおすすめが表示されるという。自分の感想をコメントとして残すこともできる。
byflowを使っていて気になるユーザーを見かけたら、Twitterのように「フォロー」してその人の最新アイテムを追いかけられる。TwitterやFacebook、Gmailのアドレス帳からbyflowを利用している友人を探すこともできる。
ByFlowはGoogle日本法人出身者が集まって2010年8月に設立した。現在のメンバーは代表取締役CEO&共同創業者の牧野友衛氏、取締役CTO&共同創業者の林芳樹氏、取締役プロダクトマネージャー&共同創業者の徳生裕人氏、シニアソフトウェアエンジニアの池島俊氏の4人。全員がGoogle出身者だ。
Googleの日本法人出身者が集まってコンシューマー向けのウェブサービスを開設した例は珍しい。なぜ有名な20%ルールの時間で取り組まなかったのか、牧野氏に聞くと、「このプロジェクトは会社を作ってやりたい気持ちが強かった」という。
牧野氏は、「まだネットでできていないことがある。その1つが商品を探すことだ」と話す。「カメラが欲しいと思ったとき、どれを買えばいいのか、検索では答えが出せない。たとえばアマゾンやECサイトではランキングはわかるが、それが自分の欲しいものなのかはわからない。デザインなどの趣味嗜好を含めるとインターネットはこの課題を解決できていない」。
そこでbyflowでは、同じ趣味の人がすすめるものが自分にとって良い商品であるという仮説をもとにサービスを組み立てた。共通で持っている商品が多く、さらに好き嫌いの傾向も似ている人を「趣味の似ている人」と仮定。趣味の似ている人が持っていて、さらに好きなものが、自分へのおすすめとして表示される。
おすすめされたアイテムが欲しいと思ったら「気になる」というボタンを押すと、ウィッシュリストのように使える。現在は携帯電話やスマートフォンに対応していないが、いずれはアプリケーションを配布する予定。CDやDVDを買うときにbyflowを開いて、おすすめアイテムを探すといった利用も可能になる。また本屋で気になる本を見つけたら、友人のうち誰が持っているかを調べたり、趣味が似ているユーザーのコメントを読んで、購入を検討することもできる。店頭での検索を簡単にするため、アプリケーションには商品のバーコードを読み取る機能を付ける予定だという。
テレビや冷蔵庫のような高額商品の場合は、byflowで所有者を探して直接コメントで話しかければ、何かアドバイスを得られるかもしれない。ECサイトのレビューは知らない人が書いているが、byflowであればその人が他に登録している商品からどんな趣味嗜好を持ってるのかがわかる。
「いま一番多い人は3000個のアイテムをbyflowに登録している。その人は『もう自分の趣味はわかってくれただろうから、毎月1万円渡すので新しいCDを3枚送ってほしい』と言っている。新作CDをチェックする時間はないし、そもそもどうやって自分の好きな新作を見つければいいかわからない。人の時間はどんどん減っている。byflowは、コストをかけずに自分の欲しいものを見つけられるサービスにしたい」(牧野氏)
収益源としてはまずアフィリエイトがあるが、将来的には別の方法を検討するという。何らかの有用な広告モデルを構築するのが狙いだ。
もし将来、Googleからbyflowを買収したいと言われたらどうするのだろうか。牧野氏に聞いてみた。返ってきた答えは、「それでより良い製品が作れるのなら考える。いまは人数が少なくて、やりたいことはたくさんある。それをやり切る前に売ることはない。自分たちでできることはやりたい。まずはユーザーに便利な機能を提供することを考えている」というものだった。
とはいえ、Googleの影響は少なからず受けているという。「オフィスにはお菓子がたくさん置いてあるし、みんなで映画を観に行くこともある。あとはプロダクトアウトという考え方を持っている。『何かモノを作らなければ』という思いがあるので、半年間こもってbyflowを作った。まずはプロダクトを作って、触ってもらいたかった。そして終わりのない改善を続けていく。この点はGoogleっぽいところ」。
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