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発音を矯正してくれる英語学習サイト「EnglishCentral」

鳴海淳義 (編集部)2011年04月15日 19時11分
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 オンライン英語学習サービス「EnglishCentral」が月額980円のプレミアムサービスを開始した。独自の音声認識技術を用いたスピーキング診断で、苦手な発音の指導と改善を提供する。

 EnglishCentralは2009年9月にサービスを開始。全世界で約20万人のユーザーが利用しているという。ネイティブスピーカーの会話を収録したYouTube動画を主な教材とするため、「生きた、本物の英語学習が可能になる」とEnglishCentralの代表取締役社長の松村弘典氏は話す。

 EnglishCentralが教材に用いる動画には、たとえば、AppleのSteve Jobs氏のスピーチ、FacebookのMark Zuckerberg氏へのインタビュー、米大統領Barack Obama氏の演説などがある。これらの動画を見ながら、発音を真似したり、単語の使われ方などを学んだりできる。

苦手な発音を徹底的に練習できる

 EnglishCentralのサービスは「見る」「学ぶ」「話す」の3つのパートで構成されている。

 「見る」は自分の学習したい分野にあったYouTube動画を選んで視聴する、学習の最初の段階。EnglishCentralの教材として採用されたYouTube動画には、字幕を出したり、日本語を隠したり、単語をスロー再生したりといった機能が付与されている。

 教材となる動画は、自分の興味のある分野から選べる。「ビジネス英語」「旅行英語」「社交英語」「メディア英語」といった大カテゴリから、ビジネス英語の中の「CEO」「IT技術」「有名なスピーチ」「ファイナンス」「インタビュー」などの細かいトピックまでそろっている。トピックを選ぶと、それが保存され、トップページに表示される動画コンテンツが自分好みに変わってくる。

 「学ぶ」は、単語を反復学習するパート。選択したトピックの動画で使われている単語をまとめて学習できる。単語の意味、スペル、発音を、実際にその単語が使われている動画のシーンを見ながら覚えられる仕組みだ。

 このクイズはゲームとしても楽しめるため、EnglishCentralのユーザーの中には最長で25時間連続で学習し続けた人もいるそうだ。2〜3時間熱中する人も多いという。ここまでは無料版でも同じ機能が利用できる。

 「話す」は動画を見ながら発音して、苦手な発音を矯正したり、ネイティブスピーカーから正しい発音のビデオ指導を受けたり、それぞれの発音の学習履歴を確認できるパート。この中のビデオ指導の部分が有料のプレミアム版で提供されるサービスだ。

  • EnglishCentralトップページ

  • 単語学習画面

  • 学習の進捗を管理

 EnglishCentralの一連の学習プロセスを紹介すると次のようになる。「見る」のパートで動画を視聴しながら、同じフレーズをマイクに向かって発音すると、音声認識技術により、正しく発音できた音と、正しく発音できなかった音が色分けされて表示される(緑色は正しい発音、黄色は注意すべき発音、赤は間違った発音)。

 そこから重点的に発音を練習すると「話す」のパートに移動し、苦手な発音を重点的に練習したり、口の開き方をビデオで学んだり、口の中の舌の位置を図解で確認したりできる。ビデオ指導をしてくれる講師は、エール大学で俳優に発音を教えているプロの英語教師だという。

 もし「L」の発音が苦手だったら、その音が出てくる単語、動画のワンシーンを数万件の会話シーンの中から抽出し、徹底的に反復練習できる仕組みになっている。

 動画を視聴していてわからない単語が多かった場合は、いったん「学ぶ」のパートに移動し、自分の選んだトピックで頻出する単語のみを練習する。たとえばスポーツのトピックで「学ぶ」を選択すると、228個の単語を覚える必要があると教えてくれる。「AUTOGRAPH」という単語は、スポーツのトピックでは「サイン」という意味で使われる。スポーツ選手がサインしているシーンの動画を見ながら学習するため、利用シーンも把握できる。

 こうした学習を組み合わせることで、生きた英語をオンラインで学ぶことができるという。見る、学ぶ、話すの統合的な進捗管理や発音の診断、ビデオ指導は有料となるが、それ以外の機能は無料で利用できる。

メインターゲットは日本市場

EnglishCentral代表取締役社長の松村弘典氏EnglishCentral代表取締役社長の松村弘典氏

 EnglishCentral代表取締役社長の松村弘典氏は、Microsoftの技術者を経て、音声認識ソフトを提供するNuanceに勤務していた経験を持つ。そこで米EnglishCentral創業者のAlan Schwartz氏と出会った。Schwartz氏は当時、アジアパシフィックの責任者だったが、退職して米国でEnglishCentralを創業した。

 2009年春に米国本社を設立し、半年後には日本支社を立ち上げた。すでにAtlas VentureやGoogle Venturesが出資している。日本でもNTTインベストメント・パートナーズ、JAIC-Atop投資事業有限責任組合が出資している。

 EnglishCentralの現在の社員数は世界で50人。音声認識だけでなく、教育、脳の仕組みの科学者がマネジメントチームにいる。開発拠点は日本と連絡が取りやすいようにアジアに置いた。

 会員の大部分は日本人。2番目に多いのが韓国。3番目はスペイン。米国に本社を置き、グローバルにサービスを提供しているが、メインターゲットは日本だ。

 「日本はユーザーの目が非常に厳しいマーケット。日本で成功すれば韓国などのアジア各国に進出できる。その逆は難しいだろう。英語以外の言語も検討はしているが、時期は未定。英語は際立って大きなマーケットなので、まずは英語にフォーカスする」(松村氏)

 教材となる動画はEnglishCentralのコンテンツチームが作成している。ユーザーからリクエストがあった動画やYouTubeの中で人気のある動画に、字幕を付けたり、単語の意味を付与したり、発音データを入力したりして教材化する。Google Venturesから出資を受けていることからYouTubeとも良好な関係を築いている。

 現在、EnglishCentralにある動画コンテンツの数は約1000本。質を重視しながら、ユーザーからのリクエストを吟味してコンテンツを追加しているという。

 「たとえば楽天代表取締役会長兼社長の三木谷さんのプレゼン動画はユニーク。三木谷さんの英語はうまくないよねという人もいるが、グローバルで通用している人の英語は勉強になる。普通の教材には、ものすごくきれいな発音しかない。私がMicrosoftに在籍していたとき、バルマーが話す英語はうまく聞き取れなかった。イギリスの正しいきれいな英語よりも自社の社長の英語がわからないと意味がない。リアルな英語で学ぶ必要がある」(松村氏)

ほかの英語学習サービスとの比較

 代表的な英語学習サービスに、オンライン学習とライブ会話ができる「Rosetta Stone」がある。また、Skypeでアジア圏の英語スピーカーを相手に英会話を練習できるサービスも多くある。これらと比較してEnglishCentralはどのような特長があるのかを、EnglishCentralでマーケティング・ディレクターを務めるマイケル長谷川氏に聞いた。

EnglishCentralマーケティング・ディレクターのマイケル長谷川氏EnglishCentralマーケティング・ディレクターのマイケル長谷川氏

 まず長谷川氏が強調するのが、「生きた、本物の英語学習」という点だ。作りこんだテキストや試験対策の単語リストではなく、実在する会話のビデオを教材とすることで、リアルな英語を身につけられるという。

 「たとえばObama氏のスピーチはストレートなメッセージで、どこの国の人にも通じるリアルな英語。同じようなリアルな英語に触れられるのは実際の人と会話をするSkype英会話サービスがある。ただしEnglishCentralであれば、自分の興味のある内容を教材にできる。YouTubeで人気のビデオを使えば学習効果も高い。これは他社には提供できない強みだ」(長谷川氏)

 EnglishCentralは震災後すぐさま「科学と自然」というトピックを開設し、地震や原子力エネルギー関連のビデオを集約して提供している。「コンテンツは品質を保ちながら月に100くらい足している。DVDの教材を買うと、数年間、同じ教材を使い続けることになる。EnglishCentralは常に更新している」(長谷川氏)

 リスニング/スピーキングの基本機能についてはどの英語学習サービスも提供している。「ただし、スピーキングアセスメント(診断)技術はEnglishCentralの特徴。音ごとに発音が正しいか、間違っているかを指摘して、ビデオでガイドして、みっちり勉強する場を与えるのはEnglishCentralだけ」(長谷川氏)

 今後はモバイル端末やタブレット端末への対応を予定している。また松村氏は、「EnglishCentralの効果的な使い方をリードするような改善をしていきたい。英語を使うエンジニア用、海外旅行に行きたい人向けのビデオなどを用意したい。将来的にはTOEIC対策レッスンを提供することも考えている」と語った。

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