au基地局は91%まで回復--KDDI、課題は夏の電力対策

 KDDIは4月8日、東日本大震災への対応状況と今後の見通しについて説明会を開催した。

  • KDDI代表取締役社長の田中孝司氏

 地震発生直後は、トラフィックの増加によりつながりにくくなり、携帯電話は最大95%、固定電話は90%まで規制した。トラフィック量は、音声が通常の8倍。データは5倍程度だったという。

 代表取締役社長の田中孝司氏は、「音声は接続しづらかったが、データ通信はそれなりにつながっていたという認識」とし、今後のトラフィック増加への対策について、「基地局容量を8倍にするのではなく、データ通信を中心にバックアップできるようなサービスやプランにしていく方向」と示した。

  • 東日本大震災の対応状況

 震災の発生から4週間が経ち、「復旧フェーズ」から津波で流されたところに基地局を新たに立てていく「復興フェーズ」へと移行しつつあるという。

 4月7日12時時点(4月7日23時32分に起きた地震の影響は含まず)で、au携帯電話基地局は約91%、固定通信回線は99%まで回復している。東北における基地局の数はおよそ3000局という。現在の停止基地局は、岩手県44局、宮城県91局、福島県41局となっている。車載型基地局を6台、フェムトセル9台が稼働中という。今後、au携帯電話基地局については、4月末までに福島原発の制限地域を除き、カバーエリアを震災前とほぼ同等レベルまで回復させる見込み。

 平行して、新たな基地局を建設することで、9月末までに震災前と同等の品質に回復させる予定としている。

  • au基地局に関する今後の復旧・復興計画

  • au基地局の復旧・復興イメージ

  • 被災者支援の取り組み

 今回の震災によるKDDIの被害額は、現在集計中だという。田中氏は、「100ではないが、数百億の下の方ではないかと思っている」と説明した。2011年3月期決算説明会を4月25日に予定しており、それまでには発表するとしている。

 復興に向け、投資額はまた別途必要になってくる。「基地局は、投資としてはインパクトを与えるものではない。今後の復興に向け、(電力不足となる)夏の備えのほうが希望が見えていない。ただ、大きな影響はそれほど出ないと見てもらって結構」と話した。

  • 被災状況

 今回の対応について、現時点での田中氏個人の感想と前置きしながら「通信事業者として、通信をきちんと提供し続けることが重要であると改めて認識するとともに、プランについて初動も結構早く、順調に復旧は進んできたのではないかと思う。一方で大きな物資などに対する準備についてはもっとやっていかなければならないと認識した」と語った。

 KDDIは、3月11日14時46分の地震発生から14分後の15時10分に災害対策本部と現地対策本部を設置。16時から災害状況の把握を開始するとともに車載型基地局、移動電源車出動を指示するなどし、災害発生の直後から復旧に注力してきた。復旧に向けては、ピークで約750名が対応にあたり、現在は100~200名体制だという。

 今後の課題は、夏に向けた電力対策だ。「データセンタ、基地局のみならず、オフィスビルもそれなりに使う。夏に向けてプランをつくっているところ。一例として、ピークのときに自家発電によって(電力の)ピークを動かすなど、パッケージとして至急作り上げる」としている。

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