東日本大震災の被災を受けて、日本経団連は被災地支援や災害復興への取り組み、経済同友会は緊急声明を発表している。
日本経団連では「東北地方太平洋沖地震対策本部」(仮称)を設置している。会長の米倉宏昌氏(住友化学会長)が本部長、副会長で事務総長の中村芳夫氏が副本部長を務めている。対策本部は被災地支援と災害復興を2本柱に会員企業や団体への要請、政府や非営利団体との連絡、調整を行う。
被災地支援は「災害ボランティア活動支援プロジェクト」で各機関と連携し、現地の情報を収集しながら対応する。支援プロジェクトは、会員企業と団体に対して義援金の拠出とボランティア活動に対する資金協力を依頼するとともに、災害ボランティアセンターなどを通じて、現地のニーズを把握した上で、必要な機材や救援物資、サービスなどの提供を会員企業や団体に呼びかけていく。
日本経団連では声明の中で、今回の被災について「国難といえる事態」に対して、与野党に一致協力することを求め、政府へは当面の措置として(1)人命救助、被災地支援(2)生活再建、(3)地域・経済基盤の復旧――を早急に講ずるべきとしている。
人命救助、被災地支援では、燃料や水、食料、医薬品を含む生活関連物資の輸送体制の早期確立と、民間からの支援の受け入れ窓口や体制の整備を求めている。自衛隊の一層の活用や民間輸送車への包括的通行許可証の迅速な発行も求めている。
生活再建では、電力やガス、通信、水道、物流などのライフラインの確保や安定化を支援、輸送インフラの早期復旧を求めている。仮設住宅の確保や医療・教育施設の早期復旧とともに、被災者への所得税や住民税、固定資産税などの減免も求めている。
地域・経済基盤の復旧では、緊急的雇用維持支援と創出策、農水漁業者なども含む事業者支援、被災地向け公共事業費の大幅増額、被災企業の法人税優遇、震災損失の繰り戻し還付制度、固定資産税減免なども求める。
経済界については、義援金や寄付金、各種救援物資の拠出、NPOやボランティアなどの協力を求めている。また節電への全面協力として、生産シフトや産業用、家庭用それぞれの適切な供給体制を求めている。
経済同友会では、現在の震災被害を「国家の非常事態」であるとし、政府や企業、国民がそれぞれの役割と責任の下、「非常事態を乗り切る覚悟が必要」としている。政治に向けて、2011年度予算と関連法案を迅速に審議し、2010年度内に成立を図るともに、復興支援に向けて2011年度補正予算案を検討し、特例公債法を早期に成立させるべきと主張している。
電力供給不足については、計画停電は生活や経済活動に大きな混乱を与えると説明、電力使用の“総量規制”で対応すべきとしている。その理由として、産業活動の継続性から数時間の停電よりも契約電力量の一定減量などの総量規制の方が効果があるとしている。
復興支援については、商品やサービスの安定供給を堅持して、価格維持に努めることを求めている。また被災地地域を中心に生産活動が停止していることに触れて、雇用維持に最大限努めることも求めている。
◇震災関連情報まとめ
【特集:東日本大震災】計画停電・応援・事業継続
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